【あんスタ】不仲の話。【男主】

49 MDM ページ49

.




「《俺ら『liT』はご存知の通り、『Crazy:B』に巻き込まれて、捏造のボイスを晒されました。今はこうやって言えるけど、その時は応援してくれてる人たちを驚かせたと思います。ごめんなさい》」


“liT”が頭を下げると、「大丈夫だよー！」とファンが声をかけてくれた。Aは笑って、お礼を言う。


「《…多分、普段の俺らがもっとちゃんとしてれば、…心配させることはなかったと思う。最初から彼らはそんなことしないよ、ってなれた。
……そこで、俺ら『liT』は、》」


緊張しているのか、浅い呼吸になってしまい、変なタイミングでスッと息を吸う。

そのせいで何かを察したファンがザワザワと騒ぎ始める。


「A、オレが言う」

「…瑞生くん、」

「《オレら『liT』に、…オレに。やり直させてほしい。
本当はAのためにオレが辞めるべきなんだって分かってる。…実際、そうしようとした。でもAが、オレを必要としてくれて、オレもみんなにまだ、謝罪も愛も伝えてない。何もしてないから。
まだアイドルでいさせてほしい。お願いします》」

「《っお願いします！》」


さっきよりも深々と。

瑞生の言葉の途中、いつの間にか静まり返っていた観客席では、拍手と歓声が起きた。
解散報告かと思われていた反動で、わあっ！と盛り上がる。

昨日の天城燐音のようにペットボトルやらゴミやらを投げつけられると思っていたふたりは、驚いて顔上げて見合わせた。


「はは…、よかった、よかったね、瑞生くん」

「…バカ。これからだろ」

「っ、うん！最高な日にしようね」

「それはオレじゃなくてアイツらに言えっつーの！」


耳を赤くして、瑞生は歩き出した。
( 相変わらず照れるところが分かんないなぁ)


「《話は終わりです！今度は俺らの歌を聴いてね！》」

「《…♪〜〜〜》」


___『liT』が死んで、生まれ変わった日。
ずっと忘れずに。大事にしてこうね、瑞生くん。






.

50 あの日→←48 MDM

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す