38. 思い出す ページ38
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「…え」
「オレだって仲間!協力!なんて嫌な人間だからちょうどいいだろ。ビジネスユニット?」
「…いいの?」
「オレから誘ってんだから良いも悪いもねーわ」
「え!やろう!ユニット!」
ガタ、とAが立ち上がった。
その顔には喜びを浮かべている。
「じゃあ決まりだな。よろしく」
「うん!よろしく!」
「ユニット名はー…『TT』、『TとT』、てんどうとうじょう、てん…とう、『てんとう虫』? いやねーか。てんとう…てんとう、て…あ」
ブツブツと呟き始めたと思ったら、瑞生はスマホを取り出して何かを調べ始めた。
そして満足そうにスマホをAに見せて笑った。
「『liT』だ」
「リット? …俺らのユニット名?」
「ああ。オレらの名字から抜き取って、“点灯”。火をつけるって意味で、『liT』だ。tが大文字なのは、まあ何となく」
「すっっごい、いいね。
瑞生くんセンスあるからこういうのすぐ考えられちゃうんだなあ…尊敬だよ!」
「由来って聞かれること多いし、あった方がいいだろ」
「うんうん、アイドルっぽい!」
「ぽいじゃなくてアイドルだろ」
「!…そう、俺らアイドル!もうアイドルだよね」
「…?」
テンションが上がってるからか、Aの言葉が分からない。大したことじゃないだろと思いつつ、瑞生はもうひとつ話をもちかけた。
「___ ルール、決めようぜ」
「ルール?」
「ああ。『お互いに干渉し合わない』、これがオレらのモットー。中心にするルールだ。
好きなことはやるし、嫌なことはやんねー。アイドルだからって縛られたくない」
「……」
「これが破られたら、ユニット解散。それだけ」
「…分かった。俺は歌えればなんだっていいよ」
「話が早くて助かるなァ、だからお前とユニット組もうと思ったんだ。
もちろん音楽番組にはぜってぇ出るから安心しろよ。他の仕事は保証しない」
「全然いいよ!」
この言葉、後に天祥院先輩に怒られるAは後悔するのだが、もう何でも良かった。
仕事が取られなければ、歌が歌えれば。
__ 何でも良かった、はずだった。
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かげやま(プロフ) - 轆轤首さん» こんばんは。コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありません…!😭現実味あるファンを意識して書いてるのでそう言っていただけて嬉しいです。 (2021年12月12日 22時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
轆轤首 - 男主くんとスバルくんの関係性が好きです!!ファンのコメントも現実味あって面白いです! (2021年8月7日 19時) (レス) id: 29eaa28498 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - おれをさん» コメントありがとうございます!あんスタは元々現実に近いゲームなのでそこを意識して書いてます。そう言ってもらえてとても嬉しいです(;;)更新頑張ります! (2021年5月22日 23時) (レス) id: 3166492125 (このIDを非表示/違反報告)
おれを(プロフ) - 面白いです!どろどろしたネットの反応がリアルで今まで見たことない雰囲気の作品でこれからどうなるのか楽しみです。最近占ツク離れてたんですけど戻ってきてよかったと思いました!(^^) (2021年5月22日 16時) (レス) id: 4347f6fe12 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 諒さん» コメントありがとうございます!できるだけファン視点のところから書きたかったので、そう言ってもらえて凄く嬉しいです。ありがとうございます(;;)更新頑張ります。 (2021年5月22日 15時) (レス) id: 3166492125 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2021年4月19日 3時