お互いさま ページ47
時折俯きながら、言葉を紡ぐ。
「死こそ人間の美学だって言うけど、
死に方にその人の人生が現れるって言うけど
わたしはたくさんの血を浴びた悪党だから、どうせロクな死に方はしないの。痣に殺されることが決まっているしね。
でも、たった1人でいいから誰かに善人だと思われて死ねたなら、この人生にも意味があったと感じれるかなって。
だから人を助ける。
そんな、どうしようもないエゴだよ。」
すぐには言葉が出なかった。
自分の社会的役割を理解し、自分の運命を受け入れているきらりは、まるで芯がない。
流されれば流れていくような不安定さを感じた。
己に大それた価値を見出せないその自己評価。
ただひたすらに鬼を斬り続けていた時期の俺に、どこか似ていた。
俺も言葉を紡ぐ。
「、、、。
お前のその理論でいけば、綺麗な死に方をしなかった俺の家族は生き様が良くなかったと言うことになる。
そして、たくさんの血を浴びているのは俺も同じだ」
「、じゃあ、私達行く末は同じかもね?」
俺よりも年下の、可憐な少女がそんな顔で言うような言葉ではない。
お前は俺のようにはなってはいけない。
きらりとの対話に時間を使いすぎた。
感情で、動きすぎた。
「、、、それはこちらから遠慮する。
お前は陽の当たる道を行け。闇に籠るのは俺だけで十分だ」
言葉と共に刀を納め、道を行く。
「うそ、置いてくつもり??
ないでしょそれは」
細々と文句を言いながら俺の後をついて来る。
一旦その話が終われば彼女の表情は明るく、年相応のものとなった。
抱えるものが大きいのはお互い様、ということか。
「きらり」
立ち止まって振り返る。
「わ、何?どうしたの?」
「、、、。お前は、そのまま笑っている方が良い」
俺を見上げるきらりの頭を優しく撫でる。
絹糸のような、繊細で柔い髪。
お前は難しいことは考えなくて良い。
「え、なに、」
「明日の晩、俺の屋敷に来てくれないか。
お前が先に明かしてくれたんだ。俺もお前に話しておきたい」
きらりの顔が珍らしいものでも見たかのよう。
しかしすぐに満面の笑みに変わる。
「もちろん。ありがとう」
その時の笑顔が1番心を動かした。
これが、冨岡義勇が彼女に心を開くきっかけ。
ーーーーーーーーーー
本誌、、、が、、、。
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ハク(プロフ) - 無気力人間Aさん» Aさんはじめまして、コメントありがとうございます!そんなに褒めてくださって嬉しすぎます〜〜!!励みになります!がんばってお話進めて行きますのでこれからも夢主ちゃんの旅路を見守ってあげてください! (2019年11月19日 13時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します!小説に入り込みすぎて見つけてから今までぶっ通しで読んでしまいました、、ほんとに面白くて好きです!文と文も程よく間が空いていて読みやすいです!!とてつもなく続きが気になります、、更新頑張ってください! (2019年11月19日 3時) (レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - あさん» あさんはじめまして!コメントありがとうございます〜〜!!とても嬉しすぎる言葉です、、!最近忙しくて更新難しいんですけどこの後もお話続きますので良ければご贔屓お願いいたします! (2019年11月1日 23時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
あ - すごく面白かったです(^^)、全部好きでシリーズの初めから一気読みしてしまいました…、これからも更新楽しみにしてます (2019年11月1日 18時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - Nonさん» のんさんありがとうございます〜!!めちゃめちゃ励みになります!マイペース更新になってしまうんですけどどうかご贔屓ください( ; ; ) (2019年10月5日 20時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハク | 作成日時:2019年7月29日 0時