柱の少女の物語３〈鬼滅の刃〉

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その裏、鬼殺隊本部。
彼女が連れ去られる決断をする少し前。


2人の少年は、まず互いに知っている柱の屋敷である蝶屋敷へと駆け込んだ。
お館様の屋敷への行き方なんて知りもしないから。


「ハァッ、はあっ、はぁっ、
胡蝶、胡蝶さんはっ！胡蝶さんは、いますかっ！？」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、
アオイ、アオイっ！！俺だ、炭治郎だッ！！」

彼らの声を感知して三人娘とアオイが駆けつける。

「どうしたんですか！？
そんなに息を切らして！？」

「こ、胡蝶さんにッッ、胡蝶さんに会わせてくれ！
時間がないんだっ、頼む、！」

「わかりました。今ちょうど自室にいらっしゃいますのでお連れします！
きよ、すみ、なほはお二人にお水とタオルを！」

「は、はいぃ！！」

少年たちの異様さに少女は戸惑いながらも応える。


「竃門くん、不死川くん、そんなに急いでどうしました？」

胡蝶しのぶは戦友の、親友の危機をまだ知らない。

「月神、月神さんが危険なんです！！
早くはやく人を集めて戻らないと彼女がっ、！」

「落ち着け炭治郎っ！！
月神さんが、月神さんが上弦の壱に狙われていますっ！！
アイツの目的は彼女を連れ去ること、
月神さんにはこの事態をお館様に伝えて指示を仰げと、言われました、！」

「俺たち2人は、なにも、なにもできませんでした
見ているだけでなにも、
戦場に甘露寺さん、時透くん、月神さんの3人を残して来てしまいました、ッ」


「戦況は最悪です、
月神さんが執拗に狙われ、
それを受け流していますが、残りお二人の柱も自身の身を護ることで手一杯、加勢できるほど余裕がありません、」


少年たちは己の無力さに対する怒りと悔しさで涙を流した。

戦況が苦しかったことを知っている分、置いて来てしまったことへの想いが溢れた。

胡蝶しのぶは、少年たちの必死さ、溢れ出る涙を見てまず労いの言葉をかけた。

「お二人とも。
詳細な報告、ありがとうございます。」

そして次に彼女は2人にも感じられるほどに、殺気を出した。
その表情は、誰かを真似て呪いのように張り付けられた笑顔のまま。

「これから急いでお館様に報告へ行きます。
もちろんお二人もご一緒に。

彼女は鬼殺の要です。
失っていいはずがない」


少年たちを見て、話を聞いて彼女は全てを察した。

私の大切な親友は、彼等をまず逃した。
そして後に柱の2人もどうにか逃す。自分の戦いだと、巻き込みたくないと称して。
自己犠牲の塊のような女の子だ。


胡蝶しのぶは激しい怒りを胸に抱えている。



大切な人を二度も鬼に奪われてたまるかと、その怒りを闘志に変えて。

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