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「玄樹、今日飯でも行かない? 」



神宮寺に声をかけられて答えようとした刹那、携帯が震えた。
反射的に目を向けると、青年からで。



「…ごめん、今日は先約あって」



もう何度目か分からない青年との食事。
神宮寺と食事にも行きたい、でもそれより新しい刺激に惹かれ、とってしまった。



「そっか、じゃあまた今度」


「うん」



気づくと断っていることが多くなった。





「岩橋くん? 」


「!…ん、なんですか?」



目の前にいる青年と、美味しそうな料理。
せっかく今日も誘ってもらったのに、ぼーっとしていたみたいだ。

グラスを口につけて、青年に話を促す。



「今日、何かありました?」


「なんにも無いですよ?」


「…ほんとうに?」



心配そうな顔が、神宮寺と重なる。





「今日、実は」




―――――……

「そうじゃないだろ、玄樹」


「分かってるよ」


「やめなって、ジンさん、玄さん」



―――――…


ただ、ダンスの振りが上手くいかなくて、そこからきたむしゃくしゃがグループに悪影響を与えていた。
神宮寺はそれを注意してくれただけなのに、素直になれなくて。


よくある喧嘩ではあるけれど、ふと見せた神宮寺の心配そうな顔が脳裏にこびりついていた。





「特殊な職業だと、難しいことはたくさんあるとは思いますが、あまり気にするのも良くないですよ。
一言謝って、いつもどおりに戻すことがお互いに良いかと」



「ですよね」



「そういうことが出来るのも、長い時間いる者同士だからですね、羨ましい」



ふっ、と微笑む彼にそうですか?と返してグラスを傾ける。



「僕には、そういう人はいませんから」



寂しい響きに彼に目を向ければ、自虐気味に笑っていて。


「……優しすぎるから」


「はい?」



「もっと、求めてもいいんだと、思います」





岩橋と神宮寺はお互いにお互いを必要としている。だからこそ伝えられる言葉もある。
もっと我儘に求めれば、青年にもそういう人ができるのだと素直に思った。



「……ありがとうございます」




嬉しそうに微笑まれて、岩橋も笑みを返した。









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きぃぽぽ(プロフ) - 花さん» 花さん*はじめまして、コメントありがとうございます!ほんの少しの文なのに、そうして雑誌まで見返して頂いて!嬉しい限りです。最後まで是非お楽しみください (2020年1月5日 20時) (レス) id: 8ca93dc13a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 他にない視点のおはなしでいつもどきどきしながら読ませていただいています*^^*覚えある雑誌のシーンに「あ!」と切り抜きあさりました(笑)いつも素敵なお話ありがとうございます*^^*つづきもたのしみにしています♪ (2019年12月29日 8時) (レス) id: 5858306d0d (このIDを非表示/違反報告)
きぃぽぽ(プロフ) - ななみさん» はじめまして、ななみさん*読んで頂き、ありがとうございます。とても嬉しいお言葉です、本当にありがとうございます。これからも楽しんで頂けたら幸いです。 (2019年11月8日 0時) (レス) id: 8ca93dc13a (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読ませていただいて、優しい空気感惹かれました。読んで、映像が(映画みたい)頭に浮かんでくる作品が好きです。きぃぽぽさんの作品をもっと読みたいです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年11月7日 16時) (レス) id: 56b007f690 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きぃぽぽ | 作成日時:2019年11月3日 22時

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