落ち葉拾い ページ8
『本当にこの格好は暑い……』
膝下まである白い布をパタパタとさせる。
だらしないが周りには誰もいないので見られないだろう。
あの夜の後、Aとディルックは何事もなかったかのように帰り、命を助けた男性と少し話した後エンジェルズシェアで別れた。
その後、Aはモンド城内にある宿に泊まったのだった。
今日は所持金が少なくなってきたところだったので冒険者協会の依頼を受けて任務場所に向かっている最中である。
実はAは冒険者協会に入っており、その中でもベテランの域に入っていた。
なので今日も魔物退治かと思いきや。
『え、落ち葉拾いですか……?』
アカツキワイナリーの落ち葉拾いという拍子抜けするような依頼だった。
『あの、魔物退治などは大丈夫なんでしょうか……?』
「近頃闇夜の英雄様のお陰でここら一帯は安全なんですよ」
Aはあ、と思い出す。
闇夜の英雄……あのオーナーのディルックさんか。
そういや昨日は何故急に剣を向けられたのだろう。
私が剣を持っている事を知っていなければ出来ないはず。
……まさか正体がバレてしまったのだろうか?いや、そんな事は絶対にない。
悶々とそのことに思考を巡らせながら落ち葉拾いを始める。
この神は七神をまとめる神でありながら人間と同じように過ごす。
それがAにとって人々を見守るやり方だった。
「……」
掃除を手伝うAは、誰かに見られている事に気付きはしない。
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作者名:きの | 作成日時:2022年6月8日 22時