百八十一粒 ページ38
.
「だけどそんなお兄ちゃんが今はキラキラに輝いてる。
人のために、って言うところは変わってないけどさ、凄くかっこよくなってるから。
遠くなったなぁって思っちゃっただけ」
私がにひっと笑うと彼は驚いたような顔をして立ち止まった。
お兄ちゃん?私がそう聞くと、彼はふとこう言ったのだ。
「…やっぱ、俺はお兄ちゃんにはなれへんかもなぁ」
え…?
私が驚いた顔をすると彼はこちらを向いてこう言った。
「ほんと、そこまで考えてくれる子を妹として見られへん」
はー、Aにこんなこと思ってもらっとったんかぁ。
だなんてしみじみと呟いている。
「お兄ちゃんって呼んじゃダメなの?」
私がそう聞くと彼は「ええけどなー」と言いつつもこうも言った。
「俺は妹としてはもう見れへんなって。
さっきまでは呼んで欲しいだなんて思っとったけど、今はむしろちゃんと1人の人間として見てもらいたいって思ってる」
彼の顔があまりにも真剣で、思わず私は息を飲んだ。
「…私は人としてお兄ちゃんのことかっこいいって思ってるよ?」
私がそう言うと、彼は「んーん、ありがとなー」とはぐらかしてしまった。
なんなんだろう。
私がむぅ、とお兄ちゃんを見ていると、彼はわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
「んじゃ、先にあのバス停まで着いた方が勝ちな?」
そして急なかけっこまで始められた。
昔も一緒に走ったけど、まぁ大人になって体格もこんなに違うのに勝てっこなくて。
「もー!早いー!」
私は久々に大きな声を出してはしゃぎあった。
…ふふ、やっぱ楽しいなぁ。
.
1439人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉犬猫 - ななもり。さんだけidでてます (2022年6月18日 20時) (レス) @page43 id: a2185c14b6 (このIDを非表示/違反報告)
めーたん - 王子様を選ぶ所で選べないキャラがいたのでそのストーリーをみたいです! (2022年1月22日 9時) (レス) @page43 id: 0f93307700 (このIDを非表示/違反報告)
ツッツ〜 - なーくんのしかlD出てきません… (2020年8月18日 2時) (レス) id: 98be095f42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - あと、何か最後の誰を選ぶ?みたいな所で紫の王子以外のID出ていませんでしっ… (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます! (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゅうく | 作成日時:2020年4月19日 13時