百八十粒 ページ37
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彼の言葉に私は驚いた。
「私が?」
そう聞くと彼はそうそう、とまた歩き出した。
「A、俺が知らんうちにどんどん女っぽくなっとって。
ほら、なーくんとも上手くいっとるみたいやし。
…もう、俺はお兄ちゃんやないんやなぁって時々思ってんねん」
彼の言葉に心底驚いた。
そんなこと、思ってたんだ。
「そんなことないよ、お兄ちゃんはいつまでもお兄ちゃんであって変わんない。
…というか、お兄ちゃんって今でも呼んでいいのか不安なのは私だって」
そう言う私に彼も驚いた顔をした。
「そんなん呼んで欲しいに決まってるやん」
でもあまりにも彼が大きな声を出したから。
周りを歩いていたおば様に笑われてしまった。
少し恥ずかしがっている彼。
私はくすくすと笑いながらお兄ちゃんに抱きついた。
「ん、ありがとう」
彼は驚いたようだったが、またすぐに頭を撫でてくれた。
「…お兄ちゃん、ホールでサプライズしようとしてくれた時に私が言ったこと覚えてる?
すぐ人のことを気にしてくれてるって、見守っちゃう癖があるって」
そう聞く私に彼は頷いた。
「でもそれはAもやろ?」
まぁ、この前もそれは言われたけど私はちょっと違うかなぁだなんて思った。
「私はさ、よくこの場合だとどれが1番いい選択かなって考えるんだけど。
お兄ちゃんは違うじゃん。
その先の誰かのためにっていうのが必ず付いてる」
ほんとにそれはすごいと思う。
昔から、そうだったじゃん。
お兄ちゃんの方が絶対面白かったり頭よかったりして。
それは、勿論お兄ちゃんの方が一生懸命勉強してるからて。
なのにさ、いっつもみんなを笑わせることに徹して自分はバカキャラに回ったり。
それがわからないのか時々バカにされたり。
その度に私がむしろ怒ったり。
怒ったら怒ったでお兄ちゃんが困っちゃって。
昔から、人のためにって優しすぎるんだ。
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莉犬猫 - ななもり。さんだけidでてます (2022年6月18日 20時) (レス) @page43 id: a2185c14b6 (このIDを非表示/違反報告)
めーたん - 王子様を選ぶ所で選べないキャラがいたのでそのストーリーをみたいです! (2022年1月22日 9時) (レス) @page43 id: 0f93307700 (このIDを非表示/違反報告)
ツッツ〜 - なーくんのしかlD出てきません… (2020年8月18日 2時) (レス) id: 98be095f42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - あと、何か最後の誰を選ぶ?みたいな所で紫の王子以外のID出ていませんでしっ… (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます! (2020年7月17日 6時) (レス) id: a7dddc0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年4月19日 13時