私、拾ったからには面倒見ます【すとぷり】

みんなのヒーローと八十粒 ページ41

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なーくんside






泣かないでよ。







そう彼はもう一度言った。








泣いてなんかいない、はずなのに。







彼は俺の心の中を覗くように屈んだ。






視線を合わせてくる。









ほら、視界はぼやけてなんかいない。
泣いてなんかいないのに。








ころちゃんは俺の心に降っている雨を見ているかのようだった。









「なーくんはね、僕のヒーローなんだよ？」









そしてそんな彼に言われた言葉は深く深く染み込んでいった。









僕ね、本当にね、なーくんはかっこいいヒーローだと思ってる。









それは、どんなに不安でもちゃんと守ろうって前に進もうって頑張ろうってしてくれているからなんだよ。








こうやって不安になるのも、みんなを幸せにしたいって思っているからでしょう？









僕がね、子供の頃読んだ数少ない本の中に、あるヒーローものの児童書があったの。


で、その本のヒーローがね、ヒーローはいっつも進化し続けるんだって言ってた。








それってなーくんじゃん。









現状維持じゃダメだって。







毎日進歩しなきゃて頑張ってるじゃん。









凄いんだよ。









頑張れるヒーローってすっごくかっこいい。








初めは、なんでもできる神様みたいな人だと思ってたけど。









そんななーくんにも悩みはあって。









それを乗り越えようと、前に進もうと努力してる。








だから僕はそんな人間らしいヒーローを助けられる人間でありたい。







僕達じゃ頼りない？






そう聞いてくれる彼の優しさがじわっと心に広がった。

いつも幼くていじられキャラなころちゃん。
もちろんそうやってプライベートでもムードメーカーな面はある。





でも今みたいに優しいところをいっぱい持っていて。






「ううん、ありがとう…」






本当に素敵な、大切なメンバーなんだ。








「まぁ、でもきっとこれはみんな思っているから。
だから、僕たちをこれからは頼ってね」







本当に、みんな大切なメンバーなんだよ。









「一緒にかまそう？」






彼の屈託のない笑顔がとても眩しくて。









「本当に、ありがとう…」






感謝の言葉しか出てこなかった。






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