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「__はい、これ!」
「……何のつもりだ?」
「この間勉強教えて貰ったので、何も無しだと、悪い…かなって」
ラギーが持っていたその紙袋をミネットが受け取り、更にそれは俺へと手渡された。
がさりとそこまで重くないそれを受け取れば満足そうにミネットの顔がわかりやすく綻ぶ。
「キングスカラー先輩が何喜ぶか分からなくて、一生懸命考えたんですけど…! 使って頂けたら嬉しいです」
「俺のために?」
こいつが俺を思ってどうでもいい礼なんざに悩んだのか。
そう思うと気分が良い。際限なく俺の耳と尻尾が揺れるのがわかる。
「…ふん、まァ良い。受け取ってやるよ」
「はい。……それでは、私はこれで…」
「…!」
ミネットはいそいそと帰り支度を始める。
…もう、帰んのか? らしくねぇ言葉があと数ミリで喉を掻き破りそうだった。
ぐっと生唾を呑んでそいつらを胸までぎゅうぎゅうに押し詰める。
「…まぁまだ来た所だろ? もうちょっとゆっくりしてけよ」
「…っひ! いえ、そういう訳には!」
「別にたいした用もねぇだろ」
「あるんです! お夕食に間に合わないとバレちゃうので…!」
そいつの肩にわざとらしく手を回せばすっぽりと収まりきる華奢な体。
こいつはわかりやすい。体も仕草も、表情も言動も。
今は…そうだな。
俺から離れて、さっさと帰りてぇって顔をしてる。
「そういやテメェはトカゲ野郎の所の寮生だったな
…さて、どうしたもんかねェ」
「か、帰して下さいいい…!!」
肩に回した手をゆっくりとそいつのなだらかな頬に動かす。
一撫でするだけで小動物の様に体を硬直させる。
……何で、あのトカゲ野郎のモンなんだよ。
「…き、キングスカラー先輩…? 別に私はディアソムニアに属しているだけであって、寮長のものではないです」
「……あ?」
「え?」
まさか声に出てたのか?
気にくわねぇ。此奴が一緒だとどうも俺が俺らしくなくなる。
ミネットを離したくねえ。折角あっちから俺の元に来たんだ。離す理由がねぇ。
「ぐぇっキングスカラー先輩、苦しいです」
「色気のねぇ声出しやがって」
「……はい!? お、男に色気のある声を求めますか!?」
「……お前」
分かってねぇんだな。
言葉の代わりに俺があいつの目線まで腰を屈めた時だった。
「レオナさん! ちょっと良いっスか?」
ノック音と、聞きたくねぇ声に邪魔された。
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小豆 -azuki- - とっても面白かったです!レオナさん大好きなので、二次創作でも本人らしい言動で書いてくださっていて読みやすかったです!私はゲームはこのお話のところまで行けていないので、ストーリーを早く進めたくなりました!面白い楽しいお話をありがとうございます! (2021年1月11日 2時) (レス) id: a6a087e4cf (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - あやかさん» あやか様、最後までご愛読ありがとうございました!この作品は残念ながらここまでです!後のお話は読者様のお好きな様に想像を膨らませて頂けると嬉しいです…!ウワァなんて嬉しいお言葉…身に染みます。ありがとうございます…! (2020年11月29日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - すごく面白かったです!!キュンキュンしましたー!続編なんてない…かなぁ…なんて。もう本当に、終わってしまうのが勿体ないくらいです!!もっと見たかったー! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 674992aea4 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ま。さん» コメントありがとうございます!その一言、心に染み入ります!感想聞かせて下さり感謝いたします!ありがとうございます(^^) (2020年10月26日 11時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ま。 - 面白かったです! (2020年10月25日 22時) (レス) id: cd9d134222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年6月30日 22時