[黄名子ちゃん]菜花黄名子なんて、大嫌いだ。[嫌いな人へ]～Ω3兄弟の逆襲(嘘)～!4! (ページ22)

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うさぎ155　発狂注意ページ22

壊せ、って言われた。
壊す?壊すって、何を。

元、チームメイト?
そんな、こと、できるわけ

仲間?組織?

そっか、そうだよね
じゃあ、仕方ないよね

僕は、少しだけ力をこめた。
皆が辛そうにする。

その顔が、遠い昔に見た、母親の顔を朧気に思い出させて。なんだか凄く、嫌な気分にさせた。

今まで僕は、辛そうな人達を何人も見た。
それは全部、僕達が街を破壊して、家族を破壊して、生活を破壊して、全部全部壊してきたからで、だから辛い顔をしているのは当然なんだけど、だけど僕達だって辛くってどうしてこんな目に遭ってるのかって考えたら辛そうな顔をしている人達のせいで僕達を捨てた大人達のせいでこいつらがこいつらの遺伝子がこいつらのせいで僕達は辛い目に遭って僕を受け入れてくれたのはフェーダだけだった母親だってあんなこと言ったくせに「絶対守る」って「ずっと一緒にいる」って約束したのにそれも大嘘だったSARUだけだこの能力を素晴らしいものだって言って未来への可能性だとまで言ってくれたのはそうだよ僕達は特別だからこうやって壊す事だって簡単にできるああそうかこれは制裁だからいいのかじゃあ壊しちゃおうかそうすれば僕達を捨てた大人達を見返せる化物って怪物ってそう罵った大人達に復讐できる壊しちゃおう壊してしまおう壊してしまえ全部消えてなくなればいいんだ

「フェイのことは、ウチが絶対守ってあげるからね」

ふ、と。
能力が目覚めて少したった頃に、言われた言葉を思い出した。
心の中で思っていたことまで完全に一致してて、言葉と心の中が一致していなかった親戚連中を多く見ていたから逆に珍しく感じたことを思い出した。
傍に居た父親も、微妙な表情をしつつもその思考がどうやって自分達家族を守るかに向けられていて、だから親だけは最後まで信じようとしたのだと、今更になって思い出した。

そして最後に、2人がいなかった時、突然部屋に知らない人が押しかけてきたあの時。

「フェイ!!」

強そうな男の人に取り押さえられながらも、お婆さんに抱き抱えられて連れていかれる僕に手を伸ばしたのが誰だったのか。
今みたいに僕の名前を叫んで、今みたいに必死な表情で。
連れていかれる僕を、1人守ろうとしたのが誰だったのか。

思い出してしまった。