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54. ページ4

Aside


北人「待って、行かないで…。」


いつもとは違くて弱々しい声に胸がドキッとする。病人相手に何考えてるんだろうと思うけど仕方がない。

「ご飯作ろうと思ったんだけど…、」

北人くんからの返事はなく掴んだ手は離れないまま。とりあえずそのまま北人くんに掴まれた手のまま、ベッドの横に座る。仕事の疲れがいつのまにかウトウトしてきて寝てしまった。


北人くんが動いて目が覚める。スマホをポケットから出して時間を確認するとすでに1時間経っていて7時半を表していた。そっと北人くんの手から抜け出す。

「北人くん、キッチン借りるね。」

小声で伝えてキッチンに向かう。普段から自炊はしてるから手早く卵雑炊をやさしめの味付けで作る。ネギはくったりと火を入れて生姜を加えて体が温まるようにした。作り終えて北人くんの寝ているベットへ持っていく。

「北人くん?雑炊作ったんだけど食べれる?」

そう聞くとゆっくり目を開ける。

北人「え、Aちゃん?」

「うん、あ、勝手にお家入っちゃってごめんね!北人くんからの電話出たんだけど急に何も返事がなくなっちゃって心配だったから家まできたの。そしたら鍵が閉まってなくて勝手に入っちゃったんだけどベッドで倒れるように寝てたから…。」

北人「うん、ありがとう。俺、––––。」

北人くんがボソッとつぶやいて聞こえなかったから聞き返そうとしたら、

北人「あ、雑炊。」

「勝手にキッチン借りちゃいました…。食べれそう?」

そう聞くと北人くんは静かに頷いた。

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作者名:Jellyfish | 作成日時:2021年12月3日 17時

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