キミとキス。

企画書。 ページ11

チーフからもらった企画書に目を通す。


株式会社ネイチャー…




「これ、あのジャニーズの。誰だっけ？
ほら、肌白い人。」


待って、嘘。

これって。



「思い出した。玉森裕太だ。
そうですよね？Aさん。」


「ううん、そうだね。」



びっくりした。

まさか私がこんな風に裕太と仕事するなんて。





企画書には、ラボンの次のCMの内容だった。



「Aさんどうかしました？」


「いや、大丈夫。
CMとか初めてで、ちょっと緊張してる。」





企画書を手にして固まった私に

佐野くんは変に思ったのかも。



「俺はワクワクしてる。
Aさんがコーディネートした部屋が
CMに出るんでしょ？すごくないですか？」


「……佐野くん。」


「大きな仕事に携われて、ラッキーです。
一緒に頑張りましょう！！」


佐野くんは目をキラキラさせて満面の笑み。

あぁ、私、大丈夫かな？





＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿








次の日、広告代理店の篠原さんと打ち合わせ。


篠原さんは女性でありながら

最年少で賞を取っているすごい人。

そして何より驚いたのが私と同い年ということ。

篠原さんはバリバリのキャリアウーマンで

その辺のサラリーマンより働いているような人。

一度私と仕事がしたかったと

私が言うのもおこがましいけど

なんともチャーミングな人で

彼女が作るCMはどれも素敵で

女性目線、女性の感性から生まれるものだから

繊細で艷やかで映像がとても綺麗。

そんなすごい人とお仕事が出来るなんて夢みたい。








「企画書に目を通して頂いたと思うんですけど＿＿＿。」



企画書をめくりながら篠原さんは

今回のCMの内容について説明した。




今回は彼女と裕太の朝の様子らしい。

寝起きからのスタートで。

シーツなどのリネン類がラボンの匂いに包まれて

幸せな朝を迎えるというシーン。


爽やかで清々しい気持ちになるような

気持ち良い朝のスタートがコンセプト。


その部屋のコーディネートをするのが今回の仕事。




「玉森さんって透明感があって、ナチュラルだから、
部屋もシンプルでナチュラルな感じにして欲しいんですよね。」


「シンプルでナチュラル。」


「白基調で、観葉植物とか。
緑があるのも素敵ですね。」


「観葉植物…」


「松島さん？」


「えっ？あ、はい。
すみません、考えてみます！」






ねぇ、ちょっと待って。

白とか観葉植物って

まさに裕太の部屋じゃん。

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