君と描く物語１２

＃５９０ ページ40

本当に良かった…

そう言った先生の顔は、心底ほっとしているのが見て分かって
私まで目頭がじわっと熱くなった


先生、私今ならわかるよ…

先生が私をつき離してまで教えてくれたこの道が、私にとって どれだけ望み憧れていたものだったのか

だって夢が叶ってこんなにも胸が熱くなるほど嬉しいんだもん

いつだって先生は、私の大切な選択肢を見極めて気付かせてくれた

だから、やっぱり伝えたい…私の気持ち

さっきあんなに必死になって走ったのは…今ここに逢いに来たのは、その為だから

卒業式の日に皆にも宣言した誓いを、今…


＿A｢もし、第一志望の学校に合格する事が出来てたら…その時は…

私…先生に自分の気持ち伝えるって決めた！｣


そう…言うんだ、今ここで…！

A｢先生…！｣

天元｢ん？｣

A｢私…やっぱり先生が好きです｣

天元｢……え…｣

A｢今でもずっと…きっとこれからも変わらず大好きです

ここに入学したあの頃、自分に自信が無くて肯定してあげられなかった私に
先生は一つ一つ、私が私を好きになれる言葉をくれた

そのお陰で今、私は私を好きでいられてるんです

自分を信じて、ここまで頑張ってこられた
全部…先生がくれた大切な言葉や思い出が、私自身を肯定できる力になってるんです

先生がもう私を好きじゃなくったって、どう思われていても…私の気持ちは変わりません

先生の事が、本当に本当に大好きです…！

どうしても、最後に伝えておきたかった…

先生の気持ちも考えずに、こんな事 言って迷惑かけてごめんなさい

でもこれで最後に……っ……！？ -ｷﾞｭｯ


これで最後にする……そう言いかけた瞬間、先生の腕が私を包み込んで言葉を遮った

突然の事に頭がついて行かなくて少しの沈黙が続いた

A｢……あ…えっと…せ、先生？///｣

行き場を失った私の手が、控え目に先生の服の裾を掴むと
それに反応する様に先生の腕が更に私をしっかりと抱き締めて……

天元｢本当に……俺の気持ちなんて考えもしないで…！

この数ヶ月間…いや、お前が県外の大学に惹かれてるって聞いた時から
俺がどんな想いでお前に接してきたと思ってんだ…っ｣ｸﾞｯ

A｢せ…んせ……｣


…先生の声が……震えていた


必死に涙を堪える様に…まるで、ずっと耐えていた物を堰き止めていた蓋が外れて溢れ出すように…



その瞬間、私は…ずっと隠されてた先生の気持ちに

やっと触れられたんだ……

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