君を守りたい【狗巻棘】 (ページ20)

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「おっと、気づかれてたか」

と言う黒髪のその人、僧衣を身に纏って耳には大きめのピアス、そして肩には呪霊、普通の一般僧侶さんではなさそう

「そりゃあそんなに強い呪力持ってたら気づくわ」

「噂の里香か君が祓う所見れると思ったのに」

と一切崩さないニコニコ笑顔で言ってくるその人

折本里香を出さなくて、私も領域展開しなくて良かった

「棘は強いからね」

「君はずいぶんと彼の前とそうじゃないときの差が激しいけど、何でだろうね」

とまるで答えはわかっているかのように笑うその人、ニコニコ笑顔を崩さない彼に対する警戒心は薄れないし、なんなら増していく一方

発言には気を付けて、何をしてくるか分からないし

「…なんの用？」

「見学だよ」

「じゃあもう帰ったら？」

「冷たいなぁ、私が何をどうするかそんなに気になるのかい？」

不快になる笑み、とはこういうのだろう

不快感、恐怖、不信感、全てを沸かせてくるようなそんな笑み

「…何も用ないし、帰るわ」

と言いその人に背を向けるとククと喉を鳴らしながら笑われる

「君のその強さじゃ、大切な人は守れないよ」

「なっ！」

とそういわれ咄嗟に振り向くも、もうその人はそこには居なかった

呪力を追おうとするものの、そこら辺に散りばめたように残された呪力は追うには難しすぎた

「無理か…」

「ま～だ居たの？探し物？」

「悟さんこそ、なんでここに？」

と現れた人の問いに問いで返す

「予定に無かった呪霊が出たって聞いたからね、なんでかなぁって」

「成程ね、じゃ帰るわ」

と言いそのまま帰ろうとすると急に手首を掴まれ、目隠しの包帯越しに凝視される

「…な、なに」

「…」

「ねぇ、なに」

と早く帰ってお母さんの安否を確認したいのに引き止められてることに痺れを切らし冷たく言い放つとパッと手を離される

「いやぁ、何も？Aから棘の匂いがするなぁって、あ、ハグでもしちゃった？」

とニヤニヤとしながら聞いてくる彼を殴る、と言っても無下限のせいで実際には触れられなかったけど

「棘とはそういう関係じゃない！」

「うんうん、デートに誘いたいけど素直になれない、かぁ、じゃあ僕がセッティングしてあげようか！」

と言いぐっと親指を立てて笑う悟さん

「よ～し、殴る」

「あっはは、触れも出来ないくせに」

と馬鹿にされ、無下限の上からでもいいやと思い思いっきり殴った

「うん、Aはそっちの方がいいよ」

「うるさ」