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どうしよう、流石にやばい。
名前呼んでからずっと私の手掴んでて、身動きすら取らない裕太。
目逸らそうとしてるのに、全然逸らせない。
校舎の前で人も沢山いるのに、通行止めしちゃって目立ってるし。
正直、周りの人からの目線が痛いよ…。
でも、手を振り払おうとしても本当にびくともしない。
「…離して。」
そう言っても裕太は、私の目を逸らさないし、腕を握る力を強めるばかり。
もう抵抗しても意味ないな、って思って諦めた。
それから、少したった頃。
「……家帰るよ。」
そう言って、私の手を引いて駅までの道を歩きだしたの。
周りの人達が、私たちに気を遣ってなのか私たちが歩く道を開けてくれたんだ。
こんな大勢の人に道を開けてもらうなんて、どこのお金持ちorお姫様orアイドルのやってもらうことだよ!とか内心突っ込む。
それから、裕太は道をズンズン進んでいて、私自身、正直追いつくのに精一杯。
さっきよりも私の手を掴む力が強いし、いつもの優しい笑顔が見えない。
…どこか怖い、
そんな気がしたのはきっと気のせいじゃない。
…本当は大好きなのにね。裕太のこと。
それから、まだ見慣れない街を2人で歩き始めて、少し経った頃。
「…ねぇA?」
裕太が、やっと私の名前を呼んでくれた。
さっきとは違って、昔と変わらない優しい声に少し安堵する。
「……あのさ、俺、中学、いやもっともっと小さい頃からずっと言いたかったことがあるんだけどさ、言ってもいい?」
そんなことを言うから、裕太の顔を見上げる。
私の身長が153cmなのに対して、裕太の身長は177cm。
身長差が25cmくらいあるから、良くは見えなかったけど何やら神妙な面持ちだった気がした。
「…うん、いいよ。」
駅まで歩く道の途中、ポツポツと裕太は、昔のことを話し始めたんだ。
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作者名:百花 | 作成日時:2021年2月2日 16時