30．容量過多。 ページ30
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お祭りは想像以上の人混みで、トイレに行くのも一苦労。
人と人の隙間がほとんどなくて、縫って進むのも困難なレベルだった。
出店のきゅうりも順調に売れていって、お祭りの終了まであと2時間もあるっていうのに、残りのきゅうりはクーラーボックス二つ分と少しになってしまっている。
発泡スチロールに並んだきゅうりを渡して、会計して、
と接客する私の後ろで、相葉さんは忙しく割りばしにきゅうりを刺して並べたり、梱包したり。
忙しくてほとんど喋る余裕もないほどだった。
きゅうりを買いに来る人の中には、小中の地元の同級生とか、近くに住んでる高校の同級生もいて、気まずいながらに覚えている子は話しかけて。
ここ数年、お祭りに来ようと思ったこともなかったから、小さなころのお祭りの記憶が蘇って懐かしくなる。
「きゅうり３本ください。」
「３本ですね、袋お使いになりますか？」
「あ、他のと一緒に入れるんで大丈夫です。」
きゅうりが総菜用のタッパーに３本入ってるのを渡す。
「９００円になります。」
お金をもらおうと、初めてそのお客さんを見上げた時、後ろから元気いっぱいな相葉さんの声がした。
「あれ！ニノちゃん！！」
「うわ、これ相葉さんの店？」
「なんでちょっと嫌そうなの！」
笑いながら親しげに話して、相葉さんは３本入りのタッパーをにのさんから奪うように取る。
「３人で食べるんだから、３本でいいんすよ。」
相葉さんの行動を見透かしたようににのさんが言う。
「え〜じゃあ５本にしちゃお」
「どういう計算だよ」
慣れたようにツッコミを入れて、私に千円を渡した。
「お友達ですか？」
「うん、高校の頃ね。」
「あ、お釣りいらないから。それ大野さんのお金だし。」
「え、でも」
「いーからもらっとけって」
そう言ったにのさんに相葉さんが差しだしたタッパー。
見るからにそれは容量過多で膨れている。
「６本もいらないんだけど……、相葉さん、赤字よ？」
「文句ばっかり〜、何本なら満足するのこの子！」
きゅうりでパンパンのタッパーを袋に詰め込んだにのさんは、ポケットから携帯を取り出して誰かに連絡していた。
「翔ちゃんといるんでしょ？俺も行こうかな〜」
「仕事してください。Aちゃんが可哀想。」
「あれ？ここ知り合い？」
その相葉さんの問いかけを無視して、「まあ頑張ってください。」とだけ残して。
翻した体は人混みに消えていった。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
