18．昔のドラマ。 ページ18
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「ここで食べてもいい、ですか？」
「んふ、いつもここで食べんじゃん笑」
「一応、断りは必要かなって、」
先生は笑いながら、隣に座っていいよ、という合図みたいに
広がってたジャケットを避ける。
座ったら少し、寝ていた先生の体温が残ってて
暖かくて心地よくて。
鮭おにぎりのビニールを開けたら、ちぎれた海苔がスカートに落ちて、反射でてらてら光ってた。
「おいし？」
まだ食べてないのに聞いてくるから、急いで1口目を齧って
「おいしいです」ともぐもぐしたまま答えた。
「A」
「はい」
「高校教師って知ってる？」
「え？」
「ドラマ。20年前くらいの。」
「見たことは無いです、」
だよなー、生まれてねーもん！って乾いた笑いとともに煙を吐き出した先生は、
私と、近くも遠くもない距離で、話す。
「そのドラマの最後、恋愛関係になった生徒と教師がね？」
「…………」
「あれ死んじゃうのかな、よくわかんないけど、でも幸せそうなんだよね。」
まだ寝ぼけたような顔で、遠くを見つめて話す先生の横顔に釘付けになって。
ドラマの中のその生徒が羨ましい、なんて思った。
「死んでも、2人が幸せなら、いいですね。」
「終わり良ければ全て良しってやつ？」
先生はきっと、私の事を想ってるわけじゃない。
きっと私の想いにも気づいてない。
でも気づかれなくていい。
この空間が今の私には必要だから。
「おれはね、逃げてでも2人で生きたほうが幸せだと思うんだよね。」
煙草を消して、私を見据えた先生は何を考えてるのか、いつも分からない。
けど、逃げれるなら、私も先生と逃げたい。
「そうなったら、逃げてくれますか？」
少し挑戦したその言葉に、先生は少し驚いたような顔して
「おれならね。逃げるよ、どっか広いとこに。」
とため息混じりに答えた。
だからって、じゃあ一緒に逃げてとか、そういう言葉は出てこなくて
「ダメですよ。」
なんていつも通りの言葉しか出なかった。
私はきっと、先生が先生として知り合わなくったって
同じ感情を孕んでた。
けど先生は、先生だから。
殺さなきゃいけない感情に必死でしがみついて、
待つか、消すか、
その二択の中で生きていかなきゃダメなんだ。
「ダメかあ〜笑」
とふざけたように笑ってブリトーを食べる先生は、
きっと私をからかってるだけだから。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
