9、脱獄計画 ページ9
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私は今閉じ込められている。
ボロい家の一室に。外にでることすらできない。そもそも傷が痛すぎて動けない。
「あー…」
ボーと天井を見つめて過ごす日が続く。あれから数日が経った。
あの日から代わり代わり家族(仮)に看病されている。ほとんど累が看病という名の見張りをしているけど。累がどこかへ出かける時は他の家族が看病にくる。今日は累がいないからラッキーだ。逃げるなら今しかない。
しばらく人を斬ってないから身体が疼く。ああ、早く赤い血がみたい。真っ赤な赤い血が。
私には街で今すぐ私に斬られたいと思っている人達が大勢待っているんだ(妄想)
こんなことしてる場合じゃない。早くここから脱獄しなければ。
「…イッッ!」
ガバッと立ち上がったら酷い激痛に襲われた。その場で踞って痛みに悶えてたら目の前の扉が開いた。
「あらまあ、なにやってるの?」
「ママン!」
扉を開けて入ってきたのは家族の中で私の唯一の癒し枠。蜘蛛母だった。
「立ち上がろうとしたらコケちゃって」
「あらあら大丈夫?」
そういって私を抱きしめてくれる蜘蛛母。蜘蛛母の豊満な胸が丁度顔に当たる。柔らかい。弾力がすごい。ああ、これが男のロマンか。男じゃないけど。
天国気分でしばらくママの胸に顔を埋める。もうしばらくこの胸にうずくまってたい。が、時間がない。
逃げるなら今だ。累がいないこの隙に逃げるしかない。しかし今は見ての通り身体が動かない。でも今運がいいことに1番推しに弱そうな蜘蛛母がいる。ここは蜘蛛母と一緒に逃げるしかない。
「ねえママ一緒にここから逃げよう」
「え?」
蜘蛛母の瞳が揺れる。あきらかに動揺している。迷ってるんだこの人も。なんせこの家の家族はみんな恐怖で縛られている。家族なんて形だけだ。恐怖でがんじがらめにしてるだけの累が作った牢獄のような場所。逆らったり逃げれば殺される。だからみんな累には逆らえないんだ。だけど心の内はこんなとこから逃げ出したいと思っているはず。
「ねえ私が絶対ママのこと守るからお願い。一緒に逃げよう」
口から出任せがスラスラでる。私はいざとなったら蜘蛛母を切り捨てるだろう。ただ今はここから逃げるために利用させてもらおう。
「でも、でも、」
あとひと押しだ。
「大丈夫だよ…」
「なんの話してるの?」
大丈夫だよ一緒に逃げよう、その言葉は後ろから聞こえた冷たい声によって遮られた。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時