10、脱獄計画 弍 ページ10
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後ろを向けば累が冷たい目でこちらを見下ろしていた。お前いつの間にそこにいたんだ。もしかして今の話聞かれてたりする?
「る、累…!」
蜘蛛母の恐怖に引き攣る声が部屋に響く。ママンここで動揺したら逃げようとしてたのバレちゃうよ!まだ話を聞かれてたとは決まってない。ここで沈黙してたら逆に怪しまれる。
「ママンには那田蜘蛛山についていろいろ聞いてただけだよ。」
「へえ…」
疑いの眼差し!なにこれバレてるの?バレてないの?もうハッキリしろよ。
「そんなことより!累は今日どこ行ってたの?」
もう無理やり話を変えるしかない。なんだか尋問を受けてる容疑者みたいな気分になってきた。
「ああ…今日は無惨様の所へ行ってたんだよ」
「無惨様…?」
なんとか話を逸らすことに成功した私。
無惨…そういえば鬼の頭領が無惨て奴だという話を風の噂で聞いたことがある。なんでも唯一無惨だけが人を鬼にできる能力を持ってるとか。
「身体が治ったら今度Aにも会わせてあげるよ。Aも鬼にしてもらわなきゃだしね」
「は?私が鬼に…?」
「鬼じゃなきゃ本当の家族になれないだろう」
何を勝手に決めてるんだこいつは、鬼になるなんて真っ平ごめんだ、別に私は家族だなんて思ってないし鬼になった所で本当の家族になれる訳がない。
「断る」
「Aに拒否権ないから」
なんて横暴なんだ。私にはもはや人権がないのか。身体が治る前にここから絶対に逃げようと固く心に誓う私。そんな私に累が思い出したかのように話し出した。
「そういえばさっきの話だけど…
逃げたら殺すから」
や、やだ〜〜。さっきの話全部丸聞こえだったんじゃないですか〜。じゃあなんでさっきなんの話してるか聞いてきたんだよ!しかも思わせぶりな態度とりやがって!と逆ギレしそうになる。けど目の前でめちゃくちゃ睨んでくる累くんに手負いの私が言えるはずもありませんでした!
「ニゲルワケナイジャナイッスカ」
「なんで片言?……はあ、まあいいや。今回はいいけど次逃げようとしたら許さないからね」
呆れたようにため息をついた後、ドスの効いた声でそう念押しされたのでとりあえず小さな声で返事をしといた。
この日から私の部屋に家族(仮)は出入り禁止になり、毎日累が看病にくるようになった。
こうして私の脱獄計画は失敗に終わったのだった。
※※※
無惨様の名前を呼んでも大丈夫設定(後付け)(文字数
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時