【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼

35、過去 ページ37

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夢を見た。

思い出したくもないあの日の夢を＿＿＿＿＿＿









「お兄ちゃんご本読んで！」


私は寝る前にいつもお兄ちゃんに本を読んでもらっていた。お兄ちゃんの声は聞いてると安心していつの間にか眠くなるからだ。




「いいぞ。えーっと、これはある女の子のお話です。その女の子はとても優しくて………」




本の登場人物の女の子は優しくて強い誰からも愛されてる女の子。困っている人を見捨てずたくさんの人を救いながら旅をしているというお話だった。




「私もこの女の子みたいに困ってる人をたくさん助けてあげられる強くて優しい女の子になれるかな？」

「ああ、もちろん！Aなら絶対なれるよ」



そう言って優しく頭を撫でてくれるお兄ちゃんに嬉しくてふにゃりと笑った。




「さあそろそろ寝る時間だ。本の続きはまた明日読んでやるからな」

「うん！約束だよ」

「ああ、約束だ」



私達は指切りをした。


その約束が永遠に果たされることはないと、この時の私はまだ知らなかった。








その日の夜、玄関で誰かが言い争ってる声で目が覚めた。

玄関の方を壁にそっと隠れながら覗くとお兄ちゃんと村の人達が大声で怒鳴りあっていた。




「そんなこと承知できる訳がない！」

「お前はこの村がどうなってもいいと言うのか！」




なんの話をしてるんだろう。
お兄ちゃんがこんなに怒ってるところを見たことがない。怖くて部屋に戻ろうとした私はお兄ちゃんが発した言葉で足を止めた。




「だからって妹を鬼に食べさせるなんて…！そんなことできる訳ないだろ！！」




私を鬼に、食べさせる…？


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