生の証～終わりなんて、ない～【ARS】 (ページ11)

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奏side

はじめは、ただ元気な子だなって思ってだけだった。

でも、俺がダンスと歌が好きだって言っても

他の子のように離れていく事もしなかった彼女。

果てには《じゃあ一緒じゃん》という言葉まで飛び出した。

俺がその返答に驚いて固まっていると、更にその子がリクエスト。

でも、俺が歌えるのなんて嵐の曲ぐらいだし。

最近の曲は聴く気もないし。

知らないと思うよって言って、なんとか断ろうとしたら、《カラオケ聴いたら分かる》って自信満々に言うからさ。

じゃあやってやろう、そう思ってかけたのは、Truth。

今の俺の気持ちに一番合ってそうだったからね。

子供の声だから歌いにくいけど、Aメロから歌いだす。

ちょっと驚いた顔をしたその子が気になったけど、歌の方に集中したくて目を閉じた。

Bメロに入った時に聴こえてきた歌声。

その声はついさっきまで俺と、話していた彼女の声で。

つい歌うのをやめて前を見た。

『愛はきっと降り注ぐ雨のように』

サビの手前で止まった歌。

智「お前....誰？」

そう尋ねると、微笑んだ彼女。

その瞳は今までの、6歳の少女のものではなく、小さな子供を見る大人の瞳。

その時、やっと気づいた。

ああ、この子も演技してるんだって。

この子も、周りの大人を騙して生きてるんだって。

そこまでわかったのに、彼女の本当の姿に気づかなかった俺は、きっとバカだった。

『私は、藤峰咲。嵐の、メンバー』

咲.....信じるよ、信じる。

あの歌い方も、笑い方も。

尋常じゃない演技力も。

なんで、気づかなかったんだろう？

あれは全部。咲、お前そのものだったのに。

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