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『え、英二君?』
「…あの人の事考えるの禁止!」
一言もそのエピソードは発していないはずなのに勘づいて怒った彼は私から梅酒のグラスを取り上げて飲みほした。ぷんすかと効果音が付きそうな怒り方をしている彼はドリンクメニューを差し出して私の次の飲み物を催促した
『えっと…』
「は、や、く!」
『じゃ、じゃあディタバックで…』
「店員さん、ディタバック2つお願いします」
『え?』
俺も同じの飲むと未だぷんぷんしている彼に頭の中を?で埋め尽くされた
『…嫉妬、してる?』
「べっ、つにぃそんなじゃないし」
少しどもりながら空いたグラスを机にどんと置いて目を逸らした彼は少し口が尖っていて可愛いなと思った。思わず笑ってしまうとぷんぷんなんだからなと何とも可愛い言葉が返ってきた。というより酔ってるでしょこの子
そりゃまあほぼ丸々1杯残っていたお酒をいっきすればお酒は瞬時に回るだろうけど
『…なんでわかったの』
「むぅ…俺が告白したの忘れた?好きな子の考えてることくらいわかるんだかんな」
思わぬセリフに胸が高鳴る
「あー顔紅くなってるぅ、照れてんの?」
顔に出ることが早々ない私の顔が紅いのはきっと彼のせいだ。恥ずかしくてそんなことを言えるわけもなく酒のせいだと誤魔化す。そんなことわかりきってる彼は“ほほ〜ん”と言いながらニヤニヤと届いたお酒に口をつけているけど
「…だからね、わかるよ」
『…』
真面目な顔になって放たれた主語も中身もない言葉だけど、きっとそれは私と部長の関係に変化がないことだと思う。そんな彼の言葉に私は何も言えなかった
「…ところでAちゃん、このお酒って何が入ってるの?」
『…知らずに一緒の頼んだんかい!』
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作者名:ちゃる | 作成日時:2023年4月22日 15時