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1月の後半に差し掛かっても私の人間関係は何も変わらず。むしろ決算が近づいたことにより時間が取れず話を切り出すどころではない
『はぁ…』
「そこのお嬢さんため息ついてると幸せ逃げちゃうぞ」
聞き覚えのある声に顔を上げると寒さのせいか少し鼻を赤くした英二君がそこにいた。…ここ私の職場の前だよね?
『…お疲れ様です』
「え、ちょっと待って反応が冷たい!」
『え、英二君なんでここに!?仕事はどうしたの、というよりちょっと待って今仕事終わったばかりでボロボロなんだけど、待ってむりむり』
と若干の棒読みで言ってあげるとなんかごめんと謝られた。遊んでごめんと思いつつどうしたのと聞くと連絡入れたんだけどと返された
『ごめん、忙しくて全然見てなかった…』
「いーのいーの!最近返信もまちまちだし忙しいんだろーなって思ってるから
で、俺は今日外回りからの直帰だったからこっち寄ってみたってわけ、晩ご飯でもどう?奢るよ」
提案された今日は金曜日、明日は休日。自炊も面倒だと思っていたし息抜きも必要だろうと私はその案に乗った。
「かんぱーい」
『お酒が身に染みるぅ…』
「Aちゃんおじさんっぽいよ…」
『失礼な』
定番メニューをつまみに酒を進め2杯目のジョッキが空になったとこでお酒を変えた。梅酒のソーダ割を注文すると日本酒じゃないんだと目の前から聞こえてきた
『私を何だと思ってる?』
「酒豪。だって3杯目入るってのに顔色も変わんないし〜」
『酒に強い女子は…お嫌い?』
「じぇーんぜん、むしろ安心。…って、飲みすぎはダメだよ?体に悪いんだから!
てかAちゃん少し酔ってる?」
『ふふっ、どうだろうね』
疲労のせいか少し回っているのは事実。ふわふわとしながらも梅酒のグラスに口をつけるとふと2年ほど前の出来事が頭を過った
千夏さんの帰省に美澪ちゃんがついて行った時、残っていた部長と私の部屋で一晩過ごした。部長はビールを私は梅酒を飲んでいて、のんびりとした時間におうちデートみたいだなと嬉しく思っていたその時、目が合った部長の顔が近づいてくる
そのまま受け入れ深くなったそれに、お酒の力もあって息がつらくなった私は部長の胸元を叩いて限界を示した
「…あっま」
離れた口から囁かれたその低音にぞくりと体が震えそのまま身を沈めた。なんて梅酒の力でそんなことを思い出していると眉間に皺を寄せた英二君の顔が目の前に迫ってきていた
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作者名:ちゃる | 作成日時:2023年4月22日 15時