【テニスの王子様】再会した笑顔【菊丸英二】 (ページ3)

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その声に振り返ると彼と視線が交わった

『なに？』

「あ、あのさっ」

『うん』

あー…と声を漏らしながら菊丸君は俯いた。口をもごもごと動かして切り出すのを迷っているようにも見える。私みたいなやつになにを言うことがあるんだろう

「えと…あ、あのさっここで会ったのも何かの縁だと思うし、名前で呼んでもいい？」

『えっ』

「あ、いや。嫌だったらいいんだ、別に。うん。いい大人だもんね俺たちも、にゃはは…」

菊丸君の“にゃ”は健在だったようだ。彼の言葉を借りるといい大人はその言葉も使わないぞとは思いつつも若干の懐かしさを感じた

というよりもそれであんな口もごもごさせてたのか彼は。何の縁かもわからないし深い関係というわけではないけどまぁ問題はない。了承を伝えると今度は俺の事も名前で呼んでねと言われた

『英二君？』

「ん、おっけぃ！それでいこー」

笑顔を浮かべた英二君は1歩分の距離を詰めて隣へと移動してきた。そしてそのまま歩き出す。雰囲気と名前呼びのおかげか、彼の口調はだんだんと学生時代に聞きなれたものに変わっていった。最初は気を遣ってくれていたみたいだ

そして気付けばもうマンションの目の前だ、いつもなら部長と別れてから長く感じる道のりも話し相手がいたからか早く感じた

『菊丸君、ここでいいよそのマンションだから私』

「え、そうなの？！」

何をそんなに驚くことがと思えば彼の口から出たのは確かに私も驚く事実だった

「俺もここに住んでるんだけど！」

ドラマや小説なんかでしか見たことない実は同じマンションに住んでましたエピソードを自分が体験するなんて思ってもみなかったよ

さすがに同じ階、お隣さんなんてことはなかったけど今まですれ違わなかったのが不思議だ。出勤時間のずれや休日の過ごし方次第で変わるけどゴミ出しとかで会いそうなのものなのに

「こんなことあるんだね～びっくりしちゃった」

『私もだよ』

「やっぱり何か縁があるなぁ、今度一緒にご飯にでも行く？」

『英二君なんかナンパみたいだね』

「え゛っ、そ、そんなんじゃないにゃあ
そりゃまあ今日声かける時はナンパっぽかったけど別にそんな…」

『冗談だよ、時間ある時にでもぜひ』

「やったぁ！じゃあじゃあ連絡先交換しよっ」