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年末年始の休日、実家に帰るか悩んだ末ゴロゴロ過ごそうと決め込んだ私は文字通りベッドの上で転がっていた。実家と言っても同じ都内だからわざわざ帰省ラッシュに巻き込まれなくてもいつでも帰れるんだけど
年末年始もぶっ続けで仕事がある友人に応援の連絡を入れ、部屋の掃除も食料の買い出しもその他日用品の買い出しも全て終わった30日の午前。真面目にやることがない、どうしたものかと思った私の元に届いた1通の連絡
[HELP ME!!!]
『…何がどうなってこうなったの?』
「えっと…にゃは、はは…」
何事かと駆けつけてみれば、空き巣ほどではないものの悪者に入られたんじゃないかと思われるくらいの荒れ具合の部屋。持ち主は何を隠そう菊丸英二
1か月前に部屋に訪れたときは確かに私の部屋より若干狭く見えるものの綺麗に整頓されていたように見えていたけど…もしやあれは誕生日マジックという名の幻だったのだろうか
『…はい、では指示を出しますので今日中に終わらせましょう』
「あいあいさー!」
いる物いらない物をざっくりと分けてもらい収納に収めていく、2人で進めるからか思ったより早く片付いて2人してソファに座り込んで一息ついた
『まったくもう…びっくりしたよいきなりヘルプミーなんて連絡来るんだから』
「ごめんにゃ…でも助かったよ、ありがとねん」
『高くつくよ』
「まじ?」
焦りだす英二君の様子が面白くて“冗談だよ”と笑い返すと英二君は私を見つめていつか見たような屈託のない笑顔を浮かべた
「えへへ、よかった〜
ところでAちゃん、初詣行く予定ある?」
『初詣…』
そういえば長年行ってない気がする。ただでさえ通勤で人に揉まれたりするのが嫌なのにわざわざ人混みに行ってまでお参りしたくないから。まぁでも友人に誘われるか実家に帰った際には行ってたんだけど、ここ数年はそれすらない
「あるんなら…『ないよ』ホント!?」
『うん』
「じゃあ一緒に初詣行こ!」
『いいよ』
黙り込んだ私に予定が入ってると思ったのかしょんぼりとする英二君の様子にいたたまれなくなって面倒とか言っていられず一緒に行く約束をした。普段が明るい彼だからかあまり落ち込んでたり悲し気にしたりするところは見たくない
初詣に行く時間を決めて私たちは解散した
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作者名:ちゃる | 作成日時:2023年4月22日 15時