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朝霧悠花の登校時刻、2 ページ4

朝、誰よりも早く来て、嫌がらせを片付けて、犯人を特定して釘を刺す。



そんなことが日常になっていた頃だった。

「甘やかしすぎだぞ」

そんなことを言われたのは。

一瞬、不快そうに顔を顰めた悠花は、一度深呼吸をして笑顔を作ってから振り向いた。

「おはようございます! 相澤先生」

「はい、おはよう」

悠花の笑顔も、相澤の気怠そうな声も、いつも通り。

普段と何も変わらない、爽やかな朝の挨拶だ。

「…で、それをやっている理由は?」

違うのは、相澤の視線が悠花の内を探るようなものであるというだけ。

合理主義の相澤は、これ以上ないほど単刀直入に訊ねてきた。

悠花は、こてんと可愛らしく首を傾げる。

「理由って…、人を守るのに、理由がいりますか?」

「嘘を吐くのはよくないし、そもそも守ってることになってないぞ」

自分の言葉を嘘だと断言した担任教師に、悠花はにこ、と笑った。

「ヒーローになれば、逆恨みも妬みも誹謗中傷も免れない。嫌がらせを堰き止めるまではともかく、知らせすらしないのは過保護だし、最終的には生徒たちのためにならない」

「理解してます。だから、段階を踏みます。
気づかせすらしないのは一年生まで。それからちょっとずつ小出しにしていくつもりです」

「それじゃ遅いだろ」

「そうですか? 卒業後、問題なくプロヒーローとして働けると思いますが。もし問題があるようだったら、高校時代に私がケアしますし」

平行線。

相澤は溜息を吐いた。

どうにもこの生徒は、弁が立つ上に無駄に頭が回る。
定期テストで八百万と並んで満点を取っているくらいには。

「お前がケア出来ない状態だった場合は?」

「例えば?」

目の前に堂々と立つ優秀で生意気な可愛い生徒は、徹底的に論戦をする構えと見える。

うっかり不利な言質を取られて丸め込まれそうな、要するに敗北の予感がもう既にしている。

相澤は憂鬱な気分を飲み込んで、口を開いた。

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作者名:紺青 | 作成日時:2019年3月4日 20時

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