朝霧悠花の登校時刻、３ ページ5
「雄英に所属する以上、下手すればそこらの社会人以上には忙しい。そんな状態で同期のメンタルケアにまで手が回るのか？」
相澤だって、授業の事前準備やら弟子の指導やら、悠花の優秀さに感けて色々任せているクチなのだが。
というか、雄英教師の大体が、ふらりと通りかかった優秀な生徒・朝霧悠花に用事を頼み、いつの間にやらメッセージアプリのアカウントまで登録してメル友になっていた。
特にリカバリーガールは、老体故に出来ない仕事が増え、それを文句一つ言わず手伝ってくれる悠花を可愛がっている。もちろん、依怙贔屓にならない範囲で。
その辺りはしっかりしているのだ。
…と、話が逸れたが。
つまり雄英教師は、生徒としては異常なほどに優秀な彼女に、かなり恩があるのだ。
そして、もし「頼る」「手伝ってもらう」の限度を過ぎれば、負い目、と言い換えることになる。ぞっとしない想像である。
まあ悠花本人は、「プロヒーローの仕事手伝えるとか勉強になるな。ラッキー☆」という心境なのだが。
そして悠花も、最初は恩とか考えになかったが、それに気づいてからはむしろ、積極的に恩をまとめ売りしていく所存である。「安売りはしないけどね」とは本人の言葉だ。
悠花は中々に強かだった。
そんな悠花は、その質問にも涼しい顔で答えてみせた。
「先輩方を見させてもらいましだが、少なくともあの一万倍の用事や仕事が回ってきたとしても、私は普通に動けると思います。
私の“個性”の機能の一つに、『個室で考え事をする時のみ、時間の流れを八千分の一にする』というのがあったでしょう」
「おい、あとの二千は」
「ほら、私、優秀なんで」
さらっと当然のように言って、さあ次は？ と無言で促してくる悠花。
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作者名：紺青 | 作成日時：2019年3月4日 20時
