■Story.86 ページ36
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玲衣「…………もう帰んの?」
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肩までの長い髪がさらっとベッドの上で揺れて。
何だかんだ色っぽい玲衣。
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裕翔「俺の家、厳しくは無いけど
緩くも無いんだよね。」
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ベッドの横のソファーに掛けていたブレザーを取って
床に落ちていたYシャツに袖を通す。
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玲衣みたいな綺麗な人を抱けて嬉しいはずなのに、
そう感じないのは、やっぱり心に誰かがいる証拠。
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だけども、俺が心に素直に従ってAに走っていけば
今、小さく笑いかけている玲衣は消えてしまう。
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そんなことになったらAは責任を感じるだろうし、
俺だって生きていられない。
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玲衣を、Aを守るとかいって
こんなことしてるけど。
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結局、守る“フリ”をしているだけで、
二人を裏でずたずたに傷つけているのは俺だ。
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神様はきっと俺ら“兄妹”が正しい
幸せな道へと導こうとしてくれているんだろうけど。
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俺は正直、苦しくて仕方がない。
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玲衣を選んでも、Aを選んでも苦しくて。
神様は俺にどれだけ罰を与えれば気が済むのか。
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本当に愛している人との未来を見れないだけで、
手にいれられないだけで十分の罰何じゃない?
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玲衣「裕翔……………」
裕翔「ん?」
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玲衣「帰る前に、キスして?」
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裕翔「…………いいよ。」
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唇に、肌に、体にと重ねて。
それと同時に罪も重ねていく――――――……
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月23日 5時