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Aはびっくりした顔でこっちを見た。





「大毅、そんなに力持ちやったっけ?」



重岡「ちょびっと鍛えてるからな。」



「手細いのに」


重岡「これからがっしり体型になるで」


「そうなん?」



重岡「せやで、目指すはコニシキ」



「あかんやん」









 









あ。









笑った。





俺は、Aの手をぎゅっと握りしめた。






重岡「ちょっと足だけ海に浸かろうや。





夜の海はどのくらい冷たいんやろ」






2人で並んで海に足を延ばすと







「「気持ちいいぃ〜!!!」」








そこまで冷たくなくて、かと言ってぬるくもなく



ちょうどひんやりしてええ加減やった。






重岡「これ真水ちゃうん?」




そう言いながら手を濡らして口にくわえると





重岡「しょっっぺーーーーー!!!」




「あははは、アホやん」









Aが爆笑してる。







この時だけ、小学生、中学生に戻った気がしてすごく嬉しかった。





Aと話せて


Aと笑い合うだけで




こんなに世界が薔薇色に見えるんや。





少女漫画の世界観で例えるとそんな感じ。








俺はこの時間が終わってほしくない。






そう思った。





「ありがとう」




ふと、Aが言った。





「やっぱり、大毅は大毅やな。


安心した」



重岡「どう言う意味やねん」




鼻で笑うと








「久しぶりに会ってもこの感覚やもん。




昔を思い出した。




夢の国に行くより楽しい」



重岡「行ったこと無いやろ、夢の国。」




「まあね」









Aは俺の手を離した。









涼しくなる手の感触に寂しさを覚え、俺はAを見つめた。







「…デビューできるといいね」









Aはこの時初めてジャニーズ関連の話題を出した。




いや、あの時以来や。




俺がジャニーズに入れて喜びの報告をした時以来や。









「小瀧くんと、藤井くんと、神山くんだっけ?





みんなでデビューできたらいいね。」





重岡「え、俺の仲間知ってるん?」








Aは遠くを見つめた。






「最近知った。






すごいね、大毅。みんなからキャーキャー言われて。




大毅は大丈夫。



大毅ならきっとうまくいくから。






だから…」









そのさきは言われへんかった。







Aは俺に背を向けて宿へと走ってった。









”笑って”








そう言わずに。

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作者名:きい | 作成日時:2021年1月8日 0時

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