B ページ14
花火がどーんと、上がった。
赤色
青色
ピンク色
緑色
オレンジ色
いろんな色が空に咲くように、私の恋の色も
どんどん大きくなっていく。
二人で座って上を見上げると、
私の左手が温かくなる。
左を向くと、大毅がこっちを向いて笑う。
重岡「俺、線香花火で自分が一番最後まで残ったら、Aとここで花火見よって決めててん。」
私の左手が涼しくなる。
その瞬間、大毅に手を繋がれていたんだと、胸が熱くなる。
重岡「ここが一番見えるねん。
花火終わったら、みんなと合流しよ？」
そう言ってニコッと笑って上を見上げる大毅。
大毅はずるい。
私の心臓をいつも揺さぶって
きっと、無意識なんだろうな。
二人きりになれたことが嬉しいのは私だけ。
それだけでも十分なのに
二人で花火を見ていることが毎年の花火と違って
少し緊張が高まる。
スマイルの花火だったり
色々な形をした花火が上がって
今年の花火は、なんだか甘酸っぱい
重岡「七夕だけやなくてさ。」
「…え？」
ふと、大毅が言う。
重岡「もっと頻繁に帰ってきてや。
大阪に。」
「…？
帰ってるよ。
お盆とか。
お正月も。」
重岡「え、そうなん？」
大毅はびっくりした顔でこっちを見て笑う。
重岡「なんやねん。
はよ言えや。
初詣、いつも男四人で行ってたで。」
「…知ってるよ。」
重岡「え、来いやAもー。」
だって、やっぱり私がいない方が、男同士の話とかできるのかなって
なんか迷惑かなって思っちゃって
それに。
「電話が来ないから。」
重岡「…え？」
「電話してくれたら、行く。」
私が大毅の方を見たら
大毅はパッと明るい表情で私の頭を撫でた。
重岡「ごめんごめん。
じゃあ、今日みたいに
初詣も連絡するわ。
俺が。」
俺が。
そう言ってくれるだけで、心が晴れやかになる。
大きな花火が上がった。
これで、花火は最後で終わりとなる。
重岡「終わっちゃったなー。」
名残惜しそうに呟く大毅。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2021年7月5日 21時
