11話【証明】 ページ12
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『しょ、証拠ですか…』
普段は誰にもでも分け隔てなく喋る麗だがこの時だけは焦って口調が堅くなり、頭が回らなくなっている。
回らないなりに何か証明できるもの、と自身の体をまさぐると1つの物が麗の手に当たる。
彼女はそれを見て女性の前に突き出す。
『こ、これで証明できますか!?』
「!それは」
麗が突き出したのは曲がった鉤の形をしたお守り。
女性はそれを見た瞬間、目を見開いた。
女性の反応に麗は少し心配する。
『あのぅ…』
「…本当に何者なんだ…」
『えっと、だからただの稲妻人で』
「それはかつて将軍様が寵愛された者にだけ贈られる物。それが本物ならただの稲妻人とは言わせないぞ」
しまった、と麗は思った。
これはかつて将軍に貰ったお守りのひとつ。
麗が稲妻を去った後もなお彼女のことが忘れられずにずっとつけていたものだったのだが麗はこのお守りにそのような効力があることを知らなかった。
かと言ってこれを偽物と言っても麗の立場が悪くなるだけ。
どうしようと考えた末に麗は少しでまかせを言うことにした。
『…これは八重宮司様から預かったものです』
「宮司様のだと?」
『はい。"もし身分を疑われることがあったらこれを使え、すぐに妾の部下だとわかるじゃろう"とわざわざお渡ししてくださったのです』
「………」
慣れない敬語に戸惑いつつも麗は自分でもよく道理の通った嘘だと思いながら話す。
次に聞こえたのは女性が息を吐く音だった。
「…確かにあのお方がやりそうな事だ。
疑ってすまなかった。私は九条娑羅と言う」
『い、いえ…あはは…』
麗が苦笑いをする中、娑羅は麗の握っている書類に目を向ける。
「それが用件の書類か」
『あ、はい。相談所を建てたいんですけど…。
宮司様から推薦状を頂いてます』
「見せろ」
麗が娑羅に書類と推薦状を手渡すと娑羅はそれを無言で読む。
「……わかった。このことは当主様達に話そう。
ほかの奉行所の方にもこの書類を回しておく。
許可が決まり次第伝えに行く」
『あ、ありがとうございます!』
『そ、それでは失礼します!』と娑羅に一礼し麗は逃げ出すように天領奉行所から離れていった。
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小ネタなんですけど今回麗が持っていた【曲がった鉤の形をしたお守り】、原神のアイテムにあります。
分かったら是非答えお聞かせください。
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空華(プロフ) - 花宮さん» コメントありがとうございます!感想書いていただいて嬉しいです!伏線張っておきながら全部回収できるか自分でも不安です…。これからも楽しみにしてください! (2022年7月10日 23時) (レス) id: 15a75e7f42 (このIDを非表示/違反報告)
花宮 - 初コメ失礼します!ぬしさまの作品は色んなキャラと絡んだり所々に沢山伏線が張られていて見てみてとても面白いです!続編がますます楽しみになる作品ですね、、更新待ってます! (2022年7月10日 22時) (レス) @page10 id: d658c77d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空華 | 作成日時:2022年7月4日 22時