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その日の夜のことだった。

村中に警報が鳴り渡った。
内容は、海賊が襲ってきた…とのことで。

こんな何も無いような平和な村を襲うなんて、どんな物好きだ、なんてふとものすごい場違いなことを思ってしまう。


「Aちゃんは孤児院の子供たちと安全な場所に避難してて!」

「わかった…でも、真達は…?」

「僕らは村を守るのが役目だから。」

「そっか…どうか、無事で…」

「もちろん…そっちこそ」


最後にそれだけを軽く話して、お互いに自分の役目を果たすべく、家を後にした。










「Aお姉ちゃぁ〜ん怖いよぉ〜」

「ど、どど…どうすれば…」


孤児院の子供たちは今の状況に怯えていた。


「大丈夫…大丈夫だから、お姉ちゃんと一緒に安全な場所に行こっか!」

そう言って、先生の手伝いをしながら子供たちを誘導させる。



無事、子供たちを避難所まで連れてくることができ、仕事が終わったと安堵のため息を吐いた。

その数秒後だった、一人の女の子が泣き始めた。


「あたしのうしゃさんがいない〜」

恐らく、ぬいぐるみの事だろう。


先生はその子を宥めようと必死になっている。
致し方がない。


「私が、取りに行きます。」

「そんな…!今外に行くのは危険よ!」

「そうは言ってもですね…」


この女の子、泣き止みそうにない。
釣られて周りの子達も泣きそうになっている。


「私は大丈夫ですので!…子供たちをよろしくお願いしますね!」


そう言って、私は元来た道を戻った。

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作者名:モノクロアリス | 作成日時:2017年6月23日 10時

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