私の味 ページ25
トド松が立ち去ったあと、また一口飲む。
ふぅ、
と一息もらし、私は兄と向かい合う。
「ねぇ、兄さん…。久しぶり、だね。」
「あぁ、久しぶり。」
何か……何か、言わなきゃ…
でも、何を話したら良いのか全然わからなくて、言葉が出てこない。
トド松も言ってたじゃないか、じぶんなりにって…。
いや、そもそも私なりってなんだろう。
思い返すと、私はいつも兄に頼りっぱなしだった。
何か困ったことがあったらすぐに兄に頼ってた。
でも、今は兄に頼ることなんかできない。
自分で、自分の言葉で言わなくちゃいけないんだ…。
「あのっ…あの…ね、兄さん…えっと…」
「…うん。」
兄は頷くだけで他は何も言わなかった。
ただ、私に微笑みかけてきたんだ。
待ってくれてる__
そう思うと、何だか安心した。
やっぱり、私は兄に頼ってる。
「兄さん、あの、私…ずっと、連絡とってなかった。…ごめんなさい。……でもっ、でもね、私、兄さんのことは嫌いじゃないんだよっ」
「……だから、その…」
「……わかってる。」
兄さんはそう言って私の頭を撫でた。
「ちゃんと、お互いに話そう…。な?」
微笑んだ兄の顔にまた安心する。
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めみお(プロフ) - すごく心がほっこりしました((←面白かったです! (2017年3月5日 22時) (レス) id: 58e24e3a39 (このIDを非表示/違反報告)
壱乃夜 茲菜(プロフ) - なんかこういうの珍しいな〜って思ってなんか自然体で面白かったです。 (2017年3月4日 17時) (レス) id: fbb5573b95 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロアリス(プロフ) - ルアさん» コメントありがとうございます!!とても…とてもっ励みになります!!((((これからも、頑張っていくので、よろしくお願いしますキリッ (2016年12月2日 20時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
ルア - 面白かったです!更新楽しみにしてますね! (2016年12月2日 19時) (レス) id: 717ccb223a (このIDを非表示/違反報告)
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