痛む愛【鬼舞辻無惨】

土産 参 ページ32

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無「何だ……早く開けてみろ」




少し苛立ったような顔でそう言われ、私はﾊｯ。と我に返って袋を開ける。


その袋包みを解くと、ふわり。と香りが漂った。



何処かで嗅いだことのある匂い




……そうだ！父さんが、お庭に寂しいからって、母さんのために、植えたんだ……

私も一緒に………

いつもお庭のそばの部屋にいる母さんが楽しめるように。って言っていた＿＿あの花の香り！



包みから取り出すと、それが石鹸だとすぐにわかった。




『あ、ありかとうございます！』




私は、口をパクパクとさせながら感謝を口にする。

勿論それは心からのもので、贈り物が本当に、ただ純粋に嬉しい。



嬉しい……嬉しい………！



思いがどんどん膨らんでいく。私、今凄く嬉しい。

父さんには一度も何かをもらったことがない。だからこんなものは初めてで……



たかだか石鹸だと言うのに、私は、一瞬にして満たされた。

何故？という土産をくださった理由も、嬉しさで何処かへ吹き飛んでいってしまった。



そんな私の様子を見てか、ふっ。と鼻で笑うような声が、聞こえた気がした








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