検索窓
今日:18 hit、昨日:14 hit、合計:74,058 hit

土産 弐 ページ31

.





『……ろ、へん風呂に、行きたい、のへす……』




私は素直に本当のことを話す。

露天風呂……私は上手く言えただろうか?




無「露天風呂……?何故だ。まだ湯浴みの時ではないはずだろう」




本当のことを話しただけなのに。更に眉間の皺が深くなる。


私はめげることなく無惨さまに話しかける。無駄口だから、これ以上喋らない方がいいのかもしれないけど




『星そらが…見はいんです……。キレイ、でしょう…?』




無惨さまにも、分かって欲しい


共有したい。



そんな思いが沸いてきて、言葉になった。




出来れば__出来ることなら__

無惨さまと___



本当は、続けてそう言いたかった。

でも止めた。犬なんだもの。綺麗なものを二つも、独り占めしようなんて、きっとどうかしてる。

さっき蹴飛ばされたせいかもしれない



けどそんな思いも__願いも、叶うわけもなく。私の言葉に、表情を一切変えることなく告げられる。




無「勝手な行動をとるな。部屋から一歩も出るな。

命令だ」

『……はい…』




残念……


無惨さまの言葉に気分が落ち込こんだせいか、いつもと変わらない“分かりました”の六文字が言い出せなかった



頭を下げ、返事をすると、目の前の床の柄が切り替わり、見慣れたものとなった。


自分の部屋に帰されちゃった…


今日は空を見れなかったことを、もっと強く残念に思う。




無「A。」

『はい…』




私の部屋に戻ったはずなのに、何故かまだ無惨さまはそこにいて…


名前を呼ばれて顔をあげると、先程より少し和らいだ表情の無惨さまと目が合う。


その表情に、少しの安堵を覚える。




無「土産だ。くれてやる」




私は、自分の耳を疑った



“土産”……?



私がこてん、と緩く首をかしげると、ポイ.と手元に袋に包まれたものを投げられる。



土産?土産って?それは私のためのもの?


何で?なんで?



疑問が浮かんできて、頭の中を埋め尽くしていくなか、無惨さまが口を開いた。




無「大したものではないが、使うといい。……それから、花を。それと同じ“香り”だ」




側の椅子に腰掛けながら、そう言う無惨さまを、私はポカン。と口を開けたまま見つめる。


これは何?夢?…夢だな……?


だって、だって。



だってだよ。こんなの。




私はチラッ。と部屋を見渡す。

窓もどきの前に、机がおかれ、そこに花が生けられている。

私はそれを見てから、もう一度無惨さまに視線を戻した




.

土産 参→←土産 壱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
190人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼舞辻無惨 , 童磨   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年11月4日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。