私は貴女のもの ページ9
sideA
我儘お嬢様な水神様の仰せのままに部屋に残った私は彼女の睡眠を妨げない程度の淡い灯の元、再び手紙へと視線を走らせる
…アビス教団の事、異邦の旅人の血縁者……そして…カーンルイアの事。簡潔に纏めたその手紙には然し膨大な情報が込められていた。だが……まぁ要するにこの友が言いたい事は何時までその国にいるつもりだ、とそういう事でしょう。友には悪いが私はあの方のお傍を離れるつもりは無い。例え彼女が何者であろうとも…何の秘密を抱えていようと、コレは惚れた弱みだ、許して欲しい
『……ふぅ』
寝台の方から穏やかな寝息が聞こえて来る、ようやく深い眠りに落ちたらしい。灯火にかけ手紙を焼き消し、窓を開け空気を入れ替える。心地よい夜風が部屋に吹き込み私の髪を優しく撫でた。1日が終わる…疲れが今になって現れはじめ、私は再びソファに深く腰を下ろした。背もたれに寄りかかり天井を見上げ息を吐く
『…疲れた…』
…明日は朝から何かあっただろうか……予定を把握して……起こす時間は……疲れた頭の中を様々な考えが巡り、私を眠りへと誘い始める。窓から吹き込む心地よい夜風、警戒しなくても良いという安心感…そして数多の疲労からか私はそのまま深い眠りについた
……ふと、違和感を覚える。心做しか身体が重たい。目元を隠していた腕をあげ重たい瞼を持ち上げると、信じ難い光景が飛び込んだ
『…え』
「あっ」
親に悪戯が見たかった子供の様な顔で私を覗き込んでいるのは、寝台に居るはずのフリーナ様。私が起きたのを確認した彼女は焦った様に視線を泳がせる
『……何をなさっているのでしょう』
「何も!?な…何もしてないよ!」
『ではその手に持っているものは?見間違いでなければ、其れは私のものなのですが』
「…み…見間違いじゃないかなぁ」
私が言えば更に焦り彼女は手に持っているものを自身の背後へサッと隠した。そして私の上からその身体を素早く退かす。良く見れば彼女は着替えを終えており、窓の外にもすっかり陽が登っている
『フリーナ様』
「ぅ…その、キミは何時も僕にこのハンカチを差し出すだろう……それなら僕が持っていても良いんじゃないかと思って」
『かと言って勝手に取るのは犯罪ですよ』
「だ…だって…何度言っても勝手に居なくなるから……キミが居ない時は之を持っていれば、良いかなって………キミの香りは安心出来るんだ…」
『……差し上げますよ…!』
しゅんと眉を下げ言う彼女に…返せと酷な事を言える筈もなかった
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時