【過去】そして現在へ ページ45
sideフリーナ
ヌヴィレットが執務をとり行う執務室。次々と書類を裁く彼を横目にソファに座りマカロンを食べていれば、コンコンコンとドアが三度叩かれた。ヌヴィレットが返事を返せば、ギィと小さな音をたて部屋のドアが開かれる
「時間通りだ……待っていたよ、A殿」
コツコツと靴を鳴らし部屋の中へ入って来たのは、着慣れぬ燕尾服に身を包んだA君だ。今まで目元に巻いていた包帯は外されていて、会った時とは比べ物にならない程にいい表情をしていた。まるで憑き物が晴れたように、瞳に光が宿っている
「…いい顔になった」
ヌヴィレットも僕と同じ事を思ったようで、A君を見てそう言うと微かに微笑んでいた
「今日からキミにはフリーナ殿のお付として働いてもらいたい。これは彼女直々の命であるが、勿論断る事も可能だ」
『いえ……お仕えすると彼女と約束してたから』
「そうか……ならば私からは何も言うまい。私は常に傍に居るわけではないのでね。フリーナ殿の事はキミに頼んだ」
『任され……じゃなくて、お任せ下さい』
慣れない言葉で頷いた彼は、ヌヴィレットとの会話を終えるとソファに座っていた僕の元まで歩み寄る。そして僕の前まで来た彼は、胸に手を当てて膝を折り……跪く形で頭を下げた
『魔神フォカロルス……否…フリーナ様、本日よりこの身を貴女様に捧げます。如何なる脅威からも貴女様を守り抜くと誓いましょう』
「むぅ…堅苦しい挨拶は無しで良いってば……それより顔をもっと良く見せて。僕の目を見て誓ってよ、あの時きみが約束してくれた言葉は……もっと違うものだっただろう?」
あの日の様にAの両の頬を包んで僕の方を向かせれば、彼は驚いた様に目を見開いた。あの日と同じ様で、全く違う彼はふと柔らかな笑みを浮かべ、頬に添えられた僕の手に自分の手を重ねて口を開く
『どんな時でも、貴女の傍に居ると約束します』
簡単な様で難しい約束……僕にとっては、ずっとずっと忘れられなくて……すごい嬉しかった言葉だよ
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『フリーナ様、そろそろ起きてください』
「ぅ…ん…」
『もう夕食時ですよ』
小さく身体を揺すられ目を覚ます。瞼をあげればやや怒った様に此方を見下ろしているAの姿が目に入って、思わず笑ってしまった
『ご機嫌ですね。どんな夢を見ていらしたんです?』
「懐かしくて…とても良い夢だったよ」
僕を起こしながら聞く彼に言えば、Aはあの時と同じように柔らかく微笑んだ
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時