水神と囚人【過去編 6】 ページ42
sideフリーナ
メロピデ要塞を訪れた僕は、管理人であるリオセスリの案内の元要塞内を見回る事にした。というのも、Aというあの男の様子を見てみたかったからだ。外まで送りますと言ってくれた彼に我儘を言ってしまったけれど…うん、いいよね。だって僕は水神様だし!
《…どうでもいい》
…審判の際、彼が言い放ったのはそれだけだった。それ以外は何も言わず、ヌヴィレットが質問を投げかけても答えは決まって"どうでもいい"の言葉だけ。僕はそんな彼が…寂しがっているように見えて仕方なかった
「いたいた、A君。アンタにお客さんだ」
『…お客……』
手狭な部屋の隅の方で彼は小さな部品の様なものを触っていた。管理人の彼の言葉に此方を振り返り、そして微かに身体を強ばらせた。相変わらず目元に包帯が巻いてあるけれど僕を認識しているのだろう
「やぁ、久しぶりだね。元気だったかい?…この僕が会いに来てあげたよ!嬉しいだろう?」
『…会いに来てくれと言った覚えは無いが』
「んなっ…!?」
僕が声をかけるとA君はそれだけ言ってまた此方に背を向ける。なんだろう、なんかすごく傷付くな…
『こんな所に"水神様"が来て良いのかよ………管理人、俺はこのお客さんに用は無い』
「まぁそう言わず少しくらい息抜きしたらどうだ。アンタ休憩もまだだろう。そうだ、俺は少し用があって外すから戻って来るまでフリーナ様をお一人にしないようにしてくれ」
リオセスリはそう言って踵を返しどこかへ行ってしまった。残されたA君は小さく息を吐くと作業の手を止め、再びこちらを振り返った
『それで、何の用だ。確か…フリーナ様、だったか』
「……キミが元気でやっているのか気になったから来たんだ」
『へぇ、随分とお優しい事で』
棘のある言い方だ、僕でもわかる。彼から向けられるのは…これ以上話しかけるな、近付くなっていう…拒絶だ。だけどどうしてだろう……やっぱり、放っておいてはいけないんだ
『言っておくが、俺は貴女と話す事は何もない』
「僕はキミと話がしたい」
『俺は無い』
「駄目だ、キミは僕の話相手になってもらう」
『執拗いな、話す事なんて何も無いんだよ。お前も、あの男も……何奴も此奴も、構わず放っておけばいいだろうが』
そうやって話しているけれど、キミは自分では気付いてないんだろう……目元を隠していても分かる者にはわかるんだよ
「だったらそんなに寂しそうな顔をしないでよ」
今のキミは、まるで闇に迷わされている幼子のようだ
フォンテーヌの水神様【過去編 7】→←つまりそういう事【過去編 5】
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時