出会い【過去編 2】 ページ38
sideA
「……ら、…………う!」
「…メだ、……、……い。規則は……」
声が聞こえる。聞いたことのあるような、無いような声……俺は一体どうしたんだったか。友と別れ、見知らぬ土地に辿り着き……あぁそうだ、自傷したところで声をかけられたんだ。それから…傷が塞がって、その後……どうなった?
『……』
常人が眠りから覚める時の様に、重たく下がった瞼を持ち上げる。とはいえ俺は目に布を巻いているので持ち上げた気持ちでいるのだが………そう思った俺の視界には、けれど眩い光が差し込み思わず目を顰めてしまう
『っ……』
「あ、起きたんだね!良かった」
「ふむ…」
小さく唸った俺の声に反応し此方を覗き込む様に身を乗り出す女の子と、その傍らに佇む男の姿が目に入る。布を巻いていればまず有り得ない光景に驚嘆し俺は慌てて目を抑えた
『巻かれていた布は…』
「布?……あぁ、あれはキミを診た医者が衛生的に良くないと処分したよ。目の周りにも傷はないし、失明してしまうかもしれないとか言って」
『っ……では、代わりの布は…!』
「えっ?……えぇと…だから医者が言うにはずっと目を隠していると」
『医者の言葉なんてどうでもいい!目を隠すものを寄越してくれ!』
本人の了承も無しに処分だと……巫山戯るな…巫山戯るな!俺はこの世界を見たくもないんだ、見れば見るほど苦しくなる…辛くなる、死にたくなる…なのに何故…
「ご、ごめんね…」
「かわりになるかは分からないが、これを巻いていてくれ。勝手に判断して済まなかった」
申し訳なさそうに謝罪を述べたのは俺に声をかけた女の子……俺の目に何かを巻いて謝ったのはそばに居た男だろう。光が遮られ再び視界が暗闇に染まった俺は安堵の息を吐く
『……ここは何処だ』
「君はあの時倒れこのフォンテーヌ廷に運ばれた」
「……傷が塞がった後、急に倒れたんだよ……あの土砂降りの中にどれほど居たのか分からないけれど高熱だったんだ。あれから3日経ったんだよ」
『…』
「…それから…目が覚めたばかりで申し訳ないけれど……キミを審判にかけなければならないんだ。名前を教えてくれると助かる」
そう言った女の子の声は何処か不本意そうだった。先程朧気に聞こえた会話は、審判に関しての事だったのだろう……これで有罪となれば俺はどうなるのだろうか。教える義理もなければ、かといって断る理由もない。数分考えた俺は、彼女達に向け己の名はAと答えた
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時