出会い【過去編 1】 ページ37
sideフリーナ
召使との面会にはヌヴィレットとAが一緒に参加してくれた。Aは何も口出しはしなかったけれど…傍に居てくれただけでとても安心できた。面会が終わった後にドッと疲れが襲って来て部屋で眠ってしまった僕は……彼と出会った時の事を夢に見る
あれは何時の事だっただろう。あの日は酷く雨が降っていた……珍しく時間の空いたヌヴィレットを付き合わせて気分転換に散歩をしていた時、僕は海辺に倒れる人を見つけたんだ。ヌヴィレットの制止を振り切り慌てて駆け寄っていけばその人がこの国の者でない事がわかった。服にも血が滲み出ていて怪我をしていることも直ぐにわかる
「…キミは誰……?何処から来たんだい」
目元を布で覆いフードを被ったその人は僕が声を掛けると驚いた様に此方を見上げて、かと思えば次の瞬間には僕の手からは血が出ていた
「……え?」
あれ、なんで血が……僕が、怪我をしたのか……?……何が起きたのか分からず、倒れていた人に視線を戻せばその人の手には白銀に煌めく剣が握られていて、鋒からは赤い液体が滴っている。つまりあれかな、僕は斬られたのか?あんな一瞬で??
「…フリーナ殿」
「ヌヴィレット、今のは僕がいけなかったんだ。ごめんね、急に声をかけたから驚いて攻撃したんだろう?……大丈夫だよ、僕はキミに危害を加える事はしない」
ヌヴィレットが警戒した様に言いながら視線を僕の横に向ける。僕はそんなヌヴィレットを宥め、目の前の男にもう一度声を投げた。剣を地面に突き立てる事でやっと立てていた彼は僕がそう言うと再び地面に崩れ落ち、肩で呼吸を繰り返す
「キミ、怪我をしているんだろう。そのままだと死ぬよ」
『……死なない』
「は?死ぬってば!…何を相手に戦ったのか知らないけど、その出血が続けば死ぬよ、そんな事も分からないの?…ヌヴィレット、彼をフォンテーヌ廷に連れていくんだ」
僕の命令にヌヴィレットはため息を吐きながらだけど男を起こそうと手を伸ばす。だけど彼はヌヴィレットの手を弾くと、自分に触るなと言い出すしまつ……なんなんだこの男は!せっかく助けてあげようとしてるのに!
『……触るな…俺に、構わないでくれ…』
「…キミ…死にたいの?…だとしても大人しくしておくれ。話を聞くよりも手当てが先だ」
『手当てなんか必要ない…お前"が"神なら分かるだろ…』
「は?」
何を言っているんだと首を傾げる僕は土砂降りの中、男の傷が塞がっていくのをその目に捉えた
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時