特別な2人 ページ34
自国が好きかと問い掛け、その内容に私は胸の内で嘲笑する。嫌い等とこの方が答える訳が無い…好きでなければ、彼女はこうして水神として頑張ってはいないだろう
『失礼しました、今のはお気になさらず』
「この国の事は好きに決まってるだろう?」
『ですから…はぁ……』
私の言葉をまるで無視して彼女は答えた。その答えに一拍置いてそうですねと微笑めばマドレーヌに伸ばしかけていたフリーナ様の手がピタリと止まったのが視界の端に映り込む。どうしたのかと問い掛けようとするとガタと椅子の鳴る音がした
『フリーナ様、食べている途中に席を立…つ、の……は……』
注意するのとほぼ同時にフリーナ様の腕が私の頭を抱き寄せる。驚きのあまり言葉を止めた私を強く抱き締めた彼女は少し間を空け「ごめんね」と口を開く
「…君の望む答えを言ってあげられずにごめんね。僕は民達を愛しているから……この国から出るという選択肢は持ち合わせていないんだ」
何時もよりも落ち着いた穏やかな声……謝罪と共に述べられた言葉を聞き私は小さく俯いた。やはり彼女は私が言おうとしていた事を解っていたのだ…解った上で理由を問うていた……フリーナ様はよく私に向けAはズルいと言うが、狡いのは一体どちらか
『…いえ…貴女の答えは分かっていましたから』
「それはそうだろうとも。キミは僕の恋人なんだ、考えている事は分かって当然だよ…それでも聞いてくれたのは、僕に逃げ道を作ってくれたからなんだろう?」
『えぇ…貴女が否と答えれば私はすぐにでもこの国から貴女を連れ出した。それならば、例え貴女がこの国から去ろうとも…非を責められるのは私だけで済む』
貴女が苦しみ涙を流し続けるくらいならば、いっそ誰の目も届かない場所に連れ去ってしまえたら良い……喉から出かけた言葉を飲み込み閉じていた瞼をあける。膝上に腰を落としたフリーナ様と視線が交じ合えば彼女は何時もの無邪気な笑顔を浮かべ、コツンと額を合わせてくる
「それじゃあA。僕がいつか自由になったら、その時はキミが僕を連れ去ってよ」
『ハハッ、それは一体何時になるんでしょうね』
「何時になったって構わないさ…キミは僕から逃げられない。ずっと僕のものなんだ……だから何時までだって待っていられるよ」
何処か歪んだ愛情、それが心地よいと思ってしまうのだから私も大分狂っている。フリーナ様に抱き締めらた事で胸のざわつきが収まった私は再び瞼を下ろし…彼女の腕の中で眠りについた
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時