水神様のお気に入り【原神】

褪せぬ過去に思い馳せ ページ33

sideA



近頃、頻繁にフリーナ様と出会った時の事を思い出すようになった。理由は分からないが…最近は本当に、昔の事ばかり思い出す





《キミは誰…？何処から来たんだい》






もう随分と昔……雨降る日に彼女は私を見つけ出した。摩耗に耐えられなくなり、友と道を違えて宛もなく彷徨っていた私にあの方は手を差し伸べてくれたのだ




《…フリーナ殿》


《ヌヴィレット、今のは僕がいけなかったんだ。ごめんね、急に声をかけたから驚いて攻撃したんだろう？》





当時、外界を見たくも無くて目を布で覆っていた私は声を掛けられ反射的に剣を振り彼女の腕を傷付けてしまった。気配から相手が人間でないことは分かっていた…傷付けてしまったとはいえ…あわよくば殺せていればとも思っていた。だが彼女は怒る事無く、あろう事か私に謝罪を述べたのだ




《大丈夫だよ、僕はキミに危害を加える事はしない》




彼女はあの時点で私の正体を知っていたのだろうか……？その答えは今でも分からない。だが…そう言って差し伸べられた掌は私が想像していた"神”よりも温かく優しいものだった



















………摩耗に苦しむ事は…今尚ある。だがそれでも、彼女が傍に居るから多少は良くなった……傍に居る間は、呼吸が楽なのだ



『フリーナ様、晶螺マドレーヌと仙果スムージーをお作りしましたよ』


「やった！…あっ、Aも一緒に食べるんだからね」


『畏まりました』



15時のおやつにと作ったスイーツに目を輝かせ、ソファに腰掛けるフリーナ様。彼女はマドレーヌを一つ摘むと私を振り返り言った。頷いた私は自身の珈琲を淹れてから彼女と向かい合う形で手前のソファに腰を下ろす


「さっきは本当に驚いた、まさかAが僕の傍を離れないと言うなんて思ってもなかったよ……まぁずっと願ってはいたんだけど」

『願いが叶って良かったじゃないですか』

「…うん……けど、どうして突然あんな事言ったんだい？」

『理由は先程ヌヴィレット殿の前で述べましたが』

「本当にあれだけなのかい」


スムージーを飲みながら此方を向いたフリーナ様の瞳に映る己を眺めふと息を吐く。彼女はごく稀に鋭い所を突く…本音は分かってはいないが、あれが建前だと気付いているのだろう



『……フリーナ様、貴女はこの国が好きですか』



答える前に問いを投げれば彼女は目を丸くさせた






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出会い編、書こうか迷っております…皆様は興味ありますでしょうか…

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