水神様の傍らに ページ32
sideフリーナ
Aは時折、ここでは無い何処かを見ている時がある。目の前に僕がいても……その瞳に僕が映っていても、僕を通して誰かを見ていることがある……それがすごく嫌だった
「…何を見ているの」
今日もそうだ。連続少女失踪事件の審判を終えて…ファデュイ執行官の件についてヌヴィレットと話している時、Aは書面とにらめっこしながらもぼーっとしていた。僕は彼の袖をつまんで軽く引き、意識を此方に取り戻させる。ハッとして僕を見た彼はすぐに書面へと視線を戻し口を開いた
『少し考え事をしていただけです。メロピデ要塞に送られたファデュイ執行官……これについてどう動くか』
「それについては此方にも考えはある」
Aの言葉にヌヴィレットが答えて、2人はそのまま会話を進める。だけど…違うだろう、キミが今言ったのは、此方の動きではなくて他の誰かの動きだ。真剣な表情で話す2人から離れて僕はAが用意してくれた紅茶に手を付けて休憩する…というより話に入れないから休憩するしかない
『それと私はこれから先、如何なる時もフリーナ様のお傍を離れませんので』
「あぁ……………ん?」
「え?」
紅茶を飲んで、マカロンを食べようって手を伸ばした時、Aの口から放たれた言葉。1度頷いたヌヴィレットも疑問を投げ、僕もまた手を止め彼を見る。当の本人は書面を机の上に置き目を細めた
『…この先何が起こるかは分かりませんが、水神であるフリーナ様が危険に晒される可能性は十二分にある。付き人である私が傍に居るのは当然の事でしょう』
「なるほど…それは確かにその通りだ。では他の業務は他に任せるのでキミは彼女を第一として動いてくれ」
「何を言ってるんだ、僕は別に、キミが傍に居なくたって」
『わかりました。では彼女の身の回りの事はこれまで通り私が行います……が、面会等は暫く無しにしてください。事が収まるまで、彼女の傍には私1人で良い』
「…承知した。では彼女との面会は当分の間禁止としよう」
「ちょっと!…僕を無視するなよ!」
何勝手に2人で話を進めてるんだ!?僕の事なら僕の意見もちゃんと聞いてくれ!……いやまぁその、Aが傍から離れないっていうのは安心するけどさ!?
『ではフリーナ様、そういう事ですので部屋に戻りましょう』
「うぅ……わかったよ……だけど絶対、絶対僕の傍から離れないでよ!自分で言ったんだからね!」
『勿論ですよ』
僕の言葉に答えたAは、何時もの様に笑っていなかった
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時