水神様のお気に入りが1人 ページ4
sideA
手洗いを済ませ戻れば、フリーナ様が意気揚々と立っている。少女とも少年とも見て取れる容姿だが、これでもこの国の水神なのだから驚きだ。いえ、他国の神々も姿は様々ですからね……えぇ、何も文句は言いませんとも
「A、早く行くよ!」
私が視界に入るなり彼女はそう叫び私の服を掴んだ。握った、では無い…掴むのだ、彼女は。何かある度に私の服の裾を掴み注意を引こうとする
『畏まりました』
「裁判まで時間いっぱい付き合って貰おうじゃないか!」
『勿論です、然し……裁判中に眠くなってはいけませんよ』
「僕を誰だと思っているんだ、そんなもの大丈夫に決まっているだろう」
フンッと頬を膨らませる彼女にこれ以上言うのは得策では無い。分かりましたと頷き共に街へ赴き、彼女の求める物を与えた
その結果
「……眠い」
『…言わんこっちゃない』
案の定、食べたい物を食べて満足した彼女は瞳を擦りながら呟く。歩くスピードも徐々に落ち、遂には立ち止まってしまった
『フリーナ様』
「…分かってるよ。ちょっと休憩してるだけだから」
『休憩している暇はありません。本日の裁判もご覧になるのでしょう。もう始まってしまいますよ』
「……むぅ…少しくらい休んだって良いじゃないか、ケチ」
『どうとでも。それとも何か、意気揚々と遅れてやって来て民の前でヌヴィレット殿からまた何か言われたいですか』
「それは嫌だ!」
『では参りましょう。歌劇場はもう目の前、少しで到着ですから頑張って下さい』
私の言葉に再び渋々と歩き出したフリーナ様。ブツブツと文句を言ってはいるが、しっかりとその足で歌劇場へと踏み入れた。無論、民の目があるからだろう。会場が見渡せる自身の特等席に腰を下ろせば、彼女は再び船を漕ぎ始める。クロリンデが訝しげな視線を此方に寄越す…起こせと言う事だろう、わかっている
『フリーナ様、起きてください』
「…ん」
『……?』
…違う、何かおかしい。曲がりなりにも彼女は水神、そして法廷での審判さえもエンターテインメントとしている。ヌヴィレットがいなければ壊滅的な審判となる程に……いやまぁそれは置いといて、審判を楽しみにしている彼女が其れを疎かにする様な真似をするだろうか…時折審判での事で眠れなくなる様な方だぞ
『……クロリンデ、此処を頼む。少し外す』
「は?…待て何処へ」
『盛られた』
後は言わずとも分かるだろう、それだけ言い残し私はフォンテーヌ廷を後にした
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時