お迎え ページ29
sideフリーナ
ヌヴィレットは仕事が終わってないからって僕を部屋に帰らせた。だけど僕の眠気はすっかり覚めてしまっていて、ベッドに潜るも到底眠れそうになかった
「……もう!Aのせいだ!」
そもそも僕が水を飲もうと起きた時にAが居なかったのが悪いんだ。そうだ、僕は悪くない、Aが勝手に何処かに行くから悪いんだよ…なんで起きた時に傍に居てくれないんだ…
「…何処に行ったのさ…」
窓から見える空は月が輝いていた。だけど徐々に雲行きが怪しくなって来ている……きっともうすぐすれば雨が降る……雨が降れば雷が鳴る…Aは雷が苦手だ…稲光は平気でも、落雷の音を聞くとたちまち青ざめてしまう。僕が……僕が、迎えに行ってあげないと
「よっ、と!……仕方ないなぁ!」
ベッドから降りてパジャマを脱ぎ、手早く服を着替えた僕は部屋を飛び出し街へ出向く。夜も遅いからあまり人は居ないかなと思ったけど、意外とみんな夜も活動してるんだね。民からの声掛けに応えながら、僕はひたすらAを探す。ポツポツと降り出した雨は数分もしないうちに強まった。ここまで強く降るのは珍しいなと思いながら駆け足でAを探していると、不意に後ろから腕を掴まれる
「は!?なに、誰!」
『何をしてるんですか貴女は!』
ギョッとして振り向けば、腕を掴んできたAが僕を見下ろし立っていた。僕と同じく雨に打たれてびしょ濡れで…焦った様に肩で息をしていた
「何をって……キミを捜してたんだよ!起きたらいないし…雲行きが怪しかったから、迎えに行かないとって思って…」
『だからってこんな雨の中傘も持たずにお一人で出歩くなんて…貴女は水神なんですよ、軽率な行動は』
「そうやっていっつもお説教だ…僕は軽率な行動なんてしてないよ……キミを迎えに来る事は軽率なの?……雷が鳴ったら、キミは動けなくなっちゃうじゃないか」
だから心配で探しに来たのに……なんて言っても、きっとAはそれでもって怒るんだ。最後まで言えずに口を噤んで視線を落とした僕の腕を引き、Aは屋根の下へと移動する。かと思えば店先の店員に貰った大きめのタオルを僕の肩に羽織らせ、もう1つ受け取っていた小さなタオルで僕の髪を拭き始めた
『もう少し小降りになるまで雨宿りしましょう。帰ったらすぐ湯に浸かって身体を暖めるんですよ。それから…迎えに来てくれてありがとうございました、フリーナ様』
…顔を見れなくしてから言うのは、ズルいよ
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時