水神様のお気に入り【原神】

恋人からの愛 ページ23

sideフリーナ


『どうなさいましたか』


僕が名前を呼べばAは少しだけ間を開けて僕の方へ顔を向けた。さっきまでジッと1点を見つめたまま動かずに居たから、不安になって思わず声を投げてしまった


「あ…いや…」


なんでもない、その言葉が口から出せなかった。なんでもないと言ってしまったらAは話を切り上げてまた何かに集中してしまうから……そしたら、僕に意識を向けていてくれない


『ん？』


僕の考えを分かっているのかいないのか、Aは急かす事無く僕の言葉を待っている。僕を見ているその瞳はお付きとして傍に居る時とはまた違って…甘い色を宿していた


「…ソファに座ってないでこっちにおいでよ」

『いえ、私は此方で大丈夫です』

「じゃあ、僕が隣に行っても良い…かな…」


話題を終わらせたくなくて、それと一緒に不安な気持ちもあって聞いた僕をAはちょっと驚いた顔で見ていた。ほんの少し考える素振りをした後に良いですよって言うから、僕はベッドから降りてAの隣に腰を降ろす


「…あの、さ……今日のアレ…僕の事、見損なった…？」


彼はリネ君が首謀者だなんて思っていない。それは目を見てすぐにわかった…僕が彼が首謀者じゃないのかと発言した時、Aはリネ君を見て悲しそうにしていたから…。


「僕のこと…嫌いになった…？」


1度でも考えちゃうと止まらない。悪い考えがずっと頭の中でぐるぐる回って、怖くて…不安で堪らなくなる。さっき声をかけたのも、Aが怒っているかと思ったからだ


『……』


僕の質問にAは何も言ってくれない…ただジッと僕を見て黙っているだけ。それがまた怖くて、僕の心を掻き乱す。嫌われたくない……幻滅されたくない、どうしよう…どうしたら良いんだろう……どうすれば僕はAの好意をずっと独り占めしていられるのかな…？



明日の審判にも不安があって、ずっと黙っているAも怖くて、自分から聞いたのにどうしたらいいのか分からなくなって…気が付けば僕の瞳からは涙が溢れていた


「…っ」


すぐに泣いたらもっと幻滅されてしまう…もっと嫌われちゃうかもしれない…そう思って慌てて目元を拭おうとすればAに手首を掴まれた



『私が少し黙っていれば、泣いてしまう程不安になって…こんなにも可愛らしい貴女を嫌いになる筈がないでしょう？』



やっと口を開いてくれたAは、ポロポロと涙を流してる
僕を見て…ニコリと笑った

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