執事と最高審判官 ページ15
sideA
「少し良いだろうか」
『はい?』
ある日のこと、毎度の様にフリーナ様に付き従い歌劇場を訪れた私は審判の終わりにヌヴィレットに呼び止められた。2人で話がしたいと言った彼にフリーナ様は頬を膨らませ拗ねていたが、ヌヴィレットは構わず彼女を歌劇場の外へ行かせてしまう
「キミは予言の事を覚えているか」
『えぇ、勿論。フォンテーヌ人は皆生まれた時から罪を抱えており、どれほど審判を行なってもそれが消えることはない。やがてフォンテーヌの海面が上昇し、罪を背負いし人々は海水に飲み込まれる。人々は皆海の中に溶け、水神は自らの神座で涙を流す。そうして初めて、フォンテーヌ人の罪は洗い流される……でしたね?』
「そうだ。そのことについて…キミの考えを聞かせてもらいたくてな」
2人きりになった彼は直ぐに話題を切り出した。外の天気は生憎の雨…彼もまた内心穏やかではないのだろうか。真っ直ぐ此方を見つめ問いかける彼の言葉に私は口を開く
『そうですね…少なくともその予言が事実になろうとしている事は確かだと思いますよ』
「やはりそう思うか」
『穏やかな予言であれば良かったのですが…ここ最近の海面上昇は著しいでしょう?…それもあってかフリーナ様は益々予言をお気になされていまして』
「傍から見れば問題は無さそうに見えるが、キミから見てフリーナに何か変わりはないか。曲がりなりにも彼女は水神だ、気にかけてはおかなければならない」
『ありましたよ。その予言の事についての情報が無いか私に他国へ赴く様にとご命令なされました』
笑顔で言えばヌヴィレットは驚いた様に目を見開いた。あのフリーナがと呟く彼に頷き返す。命じられた時は私も驚きましたよ、あれほど離れるなと仰っていたのに、他国へ行けとご命令なさるのだから…だがそれが彼女の望みならば私はお答えするだけ
『ですから、私が居ない間は彼女の事をお願いしますね。私が居なくても大丈夫だとは思いますが…』
「……キミの事は信頼している。だから確認するが…そのまま帰って来ない、なんて事はないだろうな」
鋭い視線と共に放たれた言葉に次は私が驚嘆する。身体中に突き刺さる鋭い視線にふと息を吐き、私は再び彼に笑顔を返した
『えぇ勿論、ありませんよ』
何事もなく終わってくれれば……ですけどね
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時