風邪を引いた執事 ページ13
良く晴れたある日の事
「今日はうんと僕を頼ると良いさ!」
私に与えられた部屋で胸に手を当てふんぞり返るフリーナ様はそういった。ベッドに身体を横たえたまま私は視線のみを彼女に向ける
「この僕が一日付き添ってあげるんだからもっと喜んだらどうだい!」
『……はあ…』
と言われても…喜ぶ気力もないのだから許して欲しい。体調管理を怠っていたつもりはないが…発熱してしまった私の元へ朝からフリーナ様はやってきたのだ
『……お気持ちは有難いのですが、貴女に移してしまうかもしれませんので……私の事は構わずにいつも通りお過ごし下さい』
「僕の"いつも通り”はキミが傍に居て成り立つんだ。キミがそう言うなら此処に居ても問題は無い筈だよ」
何を言っても無駄だなと私は直ぐに判断しそれ以上言う事をやめた。僕が看病する!と息巻く彼女だが願わくば大人しくしていてくれないだろうか……そんな私の願いは儚く散り、彼女は意気揚々と私の看病をし始めた
「きっと明日には良くなる筈さ。なんたって僕が看病してあげるんだからね」
とは言っても看病とは名ばかりのもので……体力をつければ早く治るよと盛り沢山の料理を食べさせようとして来たり、熱を下げるにはこうすべきだ、と水元素で私を水浸しにしたり…好意でやってくれているから私は何も言えないのだが、案の定風邪は悪化してしまう
『…っ…』
上体を起こす事すら苦になった私はぐったりと身体を横たえる。うーんと唸りながら薬を見ていたフリーナ様は慌てた様に此方に駆け寄りベッドの傍に屈み込む様にして私と視線を合わせてきた
「気持ち悪いの?何処か痛い?……薬は飲めそうかい…?」
心配そうに私に問い掛けてくる彼女を見て…貴女は地に膝をついてはいけないと場違いな事を考えてしまう。頭の中がグラグラと揺れ視界が廻る。簡単な応答すら出来そうにない…少しでも気持ち悪さを落ち着けようと瞼を下ろせば、額にひんやりとしたものが当てられた
「…少しは…楽になるかな?」
(…心地良い)
額に置かれたものは彼女の掌で、水元素の力を使って熱を冷ましてくれているらしい。心配そうに問いかけてくる声に、大丈夫という言葉と共に感謝を伝えたいのに身体は言う事を聞いてくれない
「…寝てしまったのかい?……大丈夫だよ。僕がいるから…今はゆっくり……安心して休むと良い」
何時もとは少し違う…穏やかな、落ち着いた声を聞きながら、私はそのまま意識を手放した
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時