あくまでも主従 ページ12
sideA
「……だったら…」
それまで黙っていたフリーナ様がポツリと呟く。拘束を外し離れると彼女は私から視線を外し目元を拭いながら言葉を続けた
「だったら……他の奴なんて構わないで…僕の傍にずっと居てくれればいいじゃないか…」
微かに震えている声と小さく揺れる肩から泣いているのだと理解する。私が相手だから平気かと思ったが、やはり怖がらせてしまったようだ
「…元はと言えば……キ…キミがっ……Aが、僕の事を構ってくれないから……っ……僕の事を、見てくれないから…!」
自分では充分構っていると思っていたが、どうやら彼女はそう思っていなかったらしい。とはいえ……昔よりは勝手に傍を離れる事は無くなったし、最近はより一層彼女の要望にも答えている…彼女はそれでは足りないのだろうか
「……キミが僕以外の奴と楽しそうにしているのを見ると……胸がむかむかするんだ……だから……嫌なんだよ……キミは僕のものの筈なのに…なんで…」
なんで僕以外と楽しそうにしているの、吐露されたその言葉に私は息を呑み込んだ。抱いてはいけない感情が腹の底から膨れ上がりそうなのを抑え込み口元へ手を当て笑みを隠す
『……其れはつまり、貴女が他人に嫉妬心を抱いていると捉えて構いませんか』
「…態々言わなくても良いじゃないか…」
未だに此方を見ようとしない彼女はけれど私の問い掛けに肯定する。玩具を取られた子供の様な嫉妬心か、はたまたそうでは無いものか……何にしても、国を治める神が…七神と崇められる神の1人がこうも私を束縛したがっている
『…ッフ……フフッ』
嗚呼これだから止められない……これだから、私はこの神から離れられない。何度も繰り返すうちに激しくなる束縛は、私を絡めて離さない…だけどまだ、まだ足りない
『…申し訳ありませんでした…次からは気を付けますので、どうかお許しください』
「もう良いよ……もう良いから、早く帰ろう………あと僕は決して泣いたりしてないからね!」
何時もの様に私の袖を掴み引く彼女にニコリと笑みを返し帰路へと着く。主人と従者、神と人間……それ以上でもそれ以下でも無い……神である彼女は邪な感情を抱いてはならない相手
『フリーナ様……今は良いですが、何時か恋人が出来たら私より其方を優先なさって下さいね?』
「…うるさい」
もし、その時が来たならば…この方が心許せる特別な存在が出来たならば、その時は祝福を捧げよう
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時